猫のしっぽでわかる気持ち|形・動き別 感情辞典

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nyans編集部

2026年6月30日

しっぽは気持ちを映す「もう一つの言葉」|ただし単独では読めません

しっぽは気持ちを伝える「もう一つの言葉」。でも、しっぽ一つでは読めません。耳や姿勢とあわせて読みます。

猫のしっぽには、大きく分けて二つの役割があります。一つは、歩いたり跳んだり、狭い場所で向きを変えたりするときに体の重心を支える「バランスを取る器官」としての役割。もう一つが、自分の気持ちを仲間や人へ伝える、最大級の「コミュニケーション手段」としての役割です。表情の乏しいと思われがちな猫ですが、しっぽの形や動きには、そのときの気持ちがよく表れます(出典:International Cat Care「Cat Communication」。確信度:中〜高)。

ただし、ここで大切な前提があります。しっぽの動きは、それ「一つ」では正確に読み取れません。この記事の早見表は、あくまで気持ちを読む出発点です。最終的な判断は、しっぽ × 耳・ひげ・目・姿勢などの他のサイン × その場の状況 × その子のクセ、という「複合読み」で行うのが基本になります。実際、猫同士のやり取りがこのあと友好的になるかどうかを予測する力は、しっぽよりも「耳の位置」のほうが強かった、と報告した研究もあります(出典:Deputte et al. 2021『Animals』11(9):2752。確信度:高)。しっぽは雄弁ですが、万能ではないのです。

なお、この記事が扱うのは「しっぽという目に見えるサイン」に限定します。鳴き声の意味については、声としぐさをあわせて読むとさらに正確になりますので、別の記事(猫の鳴き声の意味)をあわせてご覧ください。

そしてもう一点。ここでお伝えする「読む」とは、観察することです。しっぽは神経の通うとても敏感な部位なので、気持ちを確かめようとして触る必要はありません。そっと見守るだけで、たくさんのことがわかります。

【早見表】形・動き別 猫の気持ち感情辞典

しっぽの「形・動き」から気持ちの傾向を逆引きできる早見表です。ただし、あくまで傾向。最後はうちの子の様子で判断してください。

しっぽの形・動き別に猫の気持ちを示すイラスト早見表。ピンと立てる=友好、ゆらゆら=リラックス、速くパタパタ=イライラ、ふくらむ=驚き・恐怖、下げて巻き込む=不安、巻きつける=親愛

下の表は、しっぽの形や動きから気持ちの傾向を逆引きするための一覧です。ここで使う「振る・ゆらす・ふくらむ」などの言葉は、このあとの本文で一つずつ定義しています。気になる動きがあれば、本文の各項目もあわせてご覧ください。

しっぽの形・動き 気持ちの傾向 よくある場面 読み分けの注意 接し方のヒント
ピンと真上に立てる 友好・信頼のことが多い 近づいてくる時 耳・姿勢も見て。立毛があれば別 そっと挨拶を返す
先だけふるふる・ピクピク 甘え・うれしい高ぶり、集中、または軽い苛立ちのことが多い そばに寄る時・遊びの時 集中か苛立ちかは状況で。後ずさり+震えはマーキングで別物 静かに見守る
ゆっくり大きくゆらゆら リラックス・もの思いのことが多い くつろぐ時 速さで意味が変わる そのまま見守る
速くパタパタ・ブンブン・床打ち 高ぶり・苛立ち・「やめて」のことが多い 撫でられ続けた時 これ単体で断定しない 撫でをいったんやめる
毛が逆立ちふくらむ 驚き・恐怖・威嚇のことが多い 大きな音の直後 耳・背中の状態も見て 刺激を減らし安全を確保
相手(人・猫)に巻きつける 親愛のことがある(諸説あり) そばに寄り添う時 自分の体に巻きつけて動かないのは別 掴まずそっとしておく
下げて股に巻き込む 不安・緊張・恐怖のことが多い 知らない来客時 続くなら痛みのことも 刺激を減らし見守る
追いかけて回る 遊び・好奇心のことが多い 子猫期 執拗・自傷が続くなら相談 見守る/掴まない

これはあくまで傾向です。意味は、そのときの状況・他のしぐさ(耳・ひげ・目・姿勢)・その子の個性で変わります。最後はうちの子の様子で判断してください。 また、カギしっぽ・短いしっぽの子は、長いしっぽの子にくらべて動きが読み取りにくいことがあります。表に当てはまりにくい子もいる、という前提で見ていただけると安心です。

ピンと立てる(tail-up)=友好・信頼のサイン

しっぽを真上にピンと立てて近づくのは「あなたを信頼しています」という友好のあいさつと考えられています。

しっぽを垂直にピンと立てて近づいてくるとき、猫は友好的な気持ちでいることが多いとされています。行動学ではこの姿を「tail-up(テイルアップ)」と呼びます。このとき耳は前に向き、ひげはリラックスしていることが多く、全身から「あなたに親しみを感じています」という雰囲気が伝わってきます(出典:International Cat Care「Cat Communication」。確信度:高)。毛が寝た(逆立っていない)状態でしっぽが垂直に立っているときは、幸福・自信・満足を表し、友好的なあいさつとして働くと整理されています(出典:Zoetis Petcare「What Your Cat's Tail is Telling You」。確信度:中〜高)。

この tail-up が、ただの通説ではなく行動学の研究で裏づけられている点は、知っておくと面白いところです。ローマの猫コロニーを観察した研究では、tail-up は友好的なシグナルであり、鼻を嗅ぎ合う行動よりも「体をこすりつける(rubbing)行動」に先行・関連しやすいこと、そして若く順位の低い猫が年長の猫へ向けて多く示すことから、争いを避ける(攻撃を抑制する)機能を持つ可能性が報告されています(出典:Cafazzo & Natoli 2009『Behavioural Processes』。確信度:高)。また、しっぽを垂直に立てた猫のシルエットを見せると、見た猫のほうも自分のしっぽを立てて速く近づいた、という実験もあります(出典:Cameron-Beaumont 博士研究の二次言及。確信度:中〜高)。しっぽを立てることは、猫同士の「あいさつ」として通じ合うサインなのですね。

さらに、立てたしっぽの先を小刻みに震わせる(quiver)ときは、より強い甘えや喜びの高ぶりを表すことが多いとされます(出典:PetMD「Cat Tail Language」。確信度:中〜高)。ただし、ここで一つ区別したいことがあります。しっぽを立てて壁などに背を向け、後ずさりしながら小刻みに震わせている場合は、尿マーキング(スプレー)の動作であることがあり、うれしさの震えとは別物です(出典:PetMD「Cat Tail Language」。確信度:中〜高)。同じ「震え」でも、姿勢と場面で意味が変わるわけです。

なお、tail-up は基本的に友好のサインですが、自分のなわばりで見知らぬ猫と向き合うような場面では、攻撃も辞さない緊張状態で起こることもあります。毛が逆立っていないか、耳や姿勢はどうか、をあわせて読み分けてください。接し方としては、そっと挨拶を返したり、指を一本そっと差し出したりする程度で十分です。しっぽを掴んだりせず、猫のペースにまかせましょう。

しっぽを振る=「うれしい」とはかぎらない|犬とは逆のことも

猫がしっぽを速く大きく振るのは、うれしさとはかぎらず「高ぶり・苛立ち」のことが多いサイン。犬とは逆になりやすい点に注意です。

「しっぽを振る」と一口に言っても、速さや強さ、場面によって気持ちは大きく変わります。ここでは三つに分けて見てみましょう。

一つめは、しっぽをゆるく大きくゆらゆらと揺らす動き。これは平静・もの思い・軽い関心のことが多く、リラックス寄りのサインと考えられています(出典:Zoetis Petcare/International Cat Care。確信度:中〜高)。二つめは、先端だけをピクピクと小刻みに動かす(twitch)動き。これは狩りや遊びへの集中を表すこともあれば、軽い苛立ち・フラストレーションのこともあります(出典:PetMD/Catster。確信度:中〜高)。同じ動きでも気持ちが分かれる、複合読みが必要な代表例です。三つめが、しっぽを速く激しく振る・床に叩きつける(thump/thrash)動き。これは苛立ち・過剰な刺激・葛藤のサインで、撫でられている最中なら「もうやめて」の合図のことが多く、振り方が速いほど不快度が高いと整理されています(出典:Zoetis Petcare/PetMD/Catster。確信度:中〜高)。

ここで、ぜひ知っておいていただきたい大切なポイントがあります。

犬と猫は逆のことがあります。 犬では「しっぽを振る=うれしい」が広く知られていますが、猫が速く大きく振るのは、むしろ「高ぶり・苛立ち・かまわないで」のサインのことが多いとされています(出典:複数の獣医療情報メディアでの一致した整理。確信度:中〜高)。犬の感覚のまま「ごきげんなんだ」と思って撫で続けると、引っかかれてしまうこともあります。これは犬が劣っているという話ではなく、種によってサインの意味が違う、というだけのこと。猫には猫の言葉があります。

ですので、撫でているときにしっぽがパタパタと動き始めたら、いったん手を止めるのがおすすめです。これは「心地よい」が「もう十分」に切り替わったサインのことが多いからです。このとき「不機嫌だ」「わがままだ」と猫を責める必要はありません。猫は「今はそっとしてほしい」という気持ちを、しっぽで正直に伝えてくれているだけ。その意思を尊重してあげると、信頼が深まります。

ちなみに、眠っているときや横になっているときに名前を呼ぶと、しっぽの先だけがパタッと動くことがあります。はっきりした研究があるわけではありませんが、わざわざ起き上がらずに「聞こえているよ」と応えてくれているように見える、ほほえましい場面です。

最後に補足です。撫でているわけでもないのに、しっぽを「常に振り続けている」「いつもと様子が違う」という場合は、痛みのサインのこともあります。気になるときは、後半の「気になるしっぽと受診の目安」もあわせてご確認ください。

ふくらむ・下げる・巻きつける…その他の形と動き

毛が逆立ちふくらむ=驚き・恐怖・威嚇、下げて巻き込む=不安や恐怖、相手に巻きつける=親愛(諸説あり)と考えられています。

ここまでの「立てる」「振る」以外にも、しっぽにはいくつかの表現があります。順番に見ていきましょう。

毛が逆立ってふくらむ(立毛・ハロウィンキャット)。 しっぽや背中の毛が逆立ってブラシのようにふくらむのは、強い驚き・恐怖・威嚇のサインと考えられています。背中を丸め、耳を横に伏せた「イカ耳」をともなうことも多く、体を実際より大きく見せることで、争いそのものを避けようとしている状態です(出典:International Cat Care/PetMD。確信度:高)。これは猫が「怖い」「びっくりした」と感じている正直な反応であって、悪いことではありません。無理に近づかず、大きな音や刺激を減らして、落ち着ける環境を整えてあげましょう。

しっぽを下げる・後ろ足の間に巻き込む。 しっぽを低く下げたり、後ろ足の間に巻き込んだりするのは、不安・緊張・恐怖のサインのことが多いとされています。体を小さく見せて、自分が脅威ではないことを伝えている状態です(出典:International Cat Care/Zoetis Petcare。確信度:中〜高)。ただし、強い恐怖だけでなく、痛みがあるときにもこの姿勢が出ることがあります(出典:PetMD「Cat Tail Language」。確信度:中〜高)。来客時など一時的なものなら見守りで十分ですが、こうした様子が続くようなら、後半の受診の目安もご確認ください。

相手(人・猫)にしっぽを巻きつける。 寄り添ってきて、相手の体にしっぽをそっと巻きつけるのは、信頼や親愛の表現とする整理があります(出典:Zoetis Petcare。確信度:中)。ただし、これは諸説あり、一次研究での明確な裏取りは弱めです。「親愛のことがある」くらいの幅で受け取るのが安全です。また、相手にではなく、座ったり寝たりした姿勢で自分の体にしっぽを巻きつけて動かない場合は、恐怖・防御・痛み・体調不良のサインのこともあり、「相手に巻きつける」とはまったく別物として見る必要があります(出典:PetMD「Cat Tail Language」。確信度:中〜高)。

ゆるく下げて自然に伸ばす・横たえる。 力が抜けてゆったりと下げられた、あるいは自然に伸ばされたしっぽは、中立〜リラックスの基本姿勢のことが多いとされています(出典:Zoetis Petcare。確信度:中)。なお、「眠っているときの理想的なしっぽの位置」といった話を扱う信頼できる一次出典は、今回見当たりませんでした。睡眠中のしっぽについては諸説あり・個体差もあるため、断定はできません。「リラックスしているときは、しっぽの動きが少なく、力が抜けている」という程度に受け取っていただくのが安全です(確信度:低)。

自分のしっぽを追いかけて回る。 くるくると自分のしっぽを追いかける姿は、特に子猫では、多くが正常な遊びや「自分の体の発見」であることが多いとされています。まずは過度に心配しすぎなくて大丈夫です。ただし、執拗に追い続ける・噛んで傷つけるといった様子が続く場合は別の見方が必要になりますので、次の章で受診の目安とあわせて切り分けていきます。

しっぽ「一つ」では決まらない|耳・ひげ・目・姿勢・場面とセットで読む

しっぽの動きは、耳・ひげ・目(瞳孔)・姿勢・その場の状況・声とセットで、はじめて正しく読み取れます。複数のサインが同じ方を指すか確かめます。

ここまで読んでいただくと、同じしっぽの動きでも気持ちが分かれる場面が何度も出てきたことに気づかれたと思います。先端のピクピクは「集中」のことも「軽い苛立ち」のこともあり、ピンと立てたしっぽは「友好」のことも、なわばりでは「緊張」のこともありました。だからこそ、しっぽ「一つ」で気持ちを決めつけないことが大切なのです。

この「しっぽだけ見ない」という姿勢には、学術的な裏づけもあります。猫の視覚的なサインを分析した研究では、猫同士のやり取りがこのあと友好的になるかどうかを予測する力は、しっぽよりも「耳の位置」のほうが強かった、と報告されています(出典:Deputte et al. 2021『Animals』11(9):2752。確信度:高)。しっぽは気持ちを知る大事な手がかりですが、それだけに頼らず、ほかのサインもあわせて読むことが、誤解を防ぐコツなのです。

気持ちを読むときは、しっぽに加えて、次のポイントを「あわせて」チェックしてみてください。

  • 耳の向き:前向きならリラックスや関心、横に伏せた「イカ耳」や後ろ向きなら不安・興奮・警戒のことが多い
  • ひげの張り:力が抜けていればリラックス、前にぐっと張っていれば集中や緊張のことが多い
  • 目(瞳孔)の大小:瞳孔が大きく開いているときは、興奮・驚き・恐怖など気持ちが高ぶっていることがある
  • 姿勢の高低:体を低くしているか、リラックスして伸びているか
  • その場の状況:直前に大きな音がしたか、来客中か、撫でられ続けていたか

これら複数のサインが「同じ方向」を指しているかを確かめると、ぐっと読み取りやすくなります。なお、声(鳴き方)も大事なサインですが、声の意味はそれだけで一つのテーマになるため、この記事では深追いしません。声としぐさをあわせて読むとさらに正確になりますので、鳴き声については別の記事(猫の鳴き声の意味)をご覧ください。また、リラックスしているときの代表的なしぐさには、前足で交互に踏む「ふみふみ」(ふみふみの意味)や、のどを鳴らす「ゴロゴロ」(ゴロゴロの意味)もあります。しっぽとあわせて見ると、その子の安心がよくわかります。

しっぽのサインに気づいてあげられると、猫との距離はもっと縮まります。「気づけなかった」と自分を責める必要はありません。今日から少しずつ観察していけば、きっとうちの子の「言葉」がわかるようになります。

気になるしっぽと受診の目安|まず安心、そのうえで相談の目安

子猫のしっぽ追いは、多くが正常な遊びです。ただし執拗な追い・自咬・皮膚の波打ちなどが続くときは、念のため動物病院で相談しましょう。

まずは安心していただきたいことから。子猫や若い猫が一時的に自分のしっぽを追いかけるのは、よくある遊びや「自分の体の発見」であることが多いとされています。これだけで「異常かも」と心配しすぎる必要はありません。

そのうえで、しっぽに関して気をつけたいことを二つお伝えします。

一つめは、しっぽを掴む・引っ張る・踏むのはNG、ということです。 しっぽは、脊髄や排泄、後ろ足の動きに関わる神経が通う、とてもデリケートな部位です。引っ張ったり踏んだりすると、骨折・脱臼・神経損傷(いわゆる「しっぽ引っ張り外傷」)を起こし、排尿・排便のコントロールに障害が残るなど、重い後遺症につながる恐れがあります(出典:VCA Animal Hospitals「First Aid for Injured Tails in Cats」/PetMD「7 Common Cat Tail Injuries」。確信度:高)。この記事でお伝えしてきた「読む」とは、あくまで観察すること。気持ちを確かめようとして触る必要はありません。小さなお子さんや来客がしっぽを引っ張らないよう、そっと見守ってあげてください。もし踏んでしまった、ケガを疑う、というときは、自己判断せず動物病院を受診しましょう。

二つめは、受診の目安です。 以下はいずれも病名を決めつけるものではなく、「こういう様子なら動物病院で相談を」という行動の目安としてご覧ください。

まず、緊急性が高く、速やかに受診したいサインです。

  • しっぽが完全に動かない/だらりと垂れたまま(麻痺の疑い)
  • 排尿・排便ができない
  • 後ろ足に力が入らない・脱力している
  • 強い痛みを示す/出血・腫れ・変色・開放創がある

これらは神経や排泄に関わる重い状態のことがあるため、ためらわず受診してください(出典:VCA/PetMD。確信度:高)。

次に、続くようなら相談したい、行動の目安です。

  • しっぽを触ると強く嫌がる・痛がる・鳴く
  • 自分のしっぽを執拗に追い続けてやめられない/噛んで傷つける・なめ壊す・出血する
  • 背中からしっぽの手前にかけて、皮膚がさざ波のように波打つ
  • 急に瞳孔が大きく開いて突然走り回る
  • しっぽやその周りの脱毛・ただれがある

こうした様子が続く場合、猫の知覚過敏症候群(Feline Hyperesthesia Syndrome)の可能性が挙げられることがあります(出典:Cornell Feline Health Center「Hyperesthesia Syndrome」。確信度:高/症例研究 PMC10814607。確信度:中〜高)。ただし、これは血液検査や画像で一発で確定する病気ではなく、ノミアレルギーや皮膚疾患、痛みなど他の原因を一つずつ除外したうえで診断される「除外診断」の病気です。ですので、ここで病名を決めつけることはできません。「こうした様子が続くなら、念のため相談を」というところまでにとどめ、診断は獣医師に委ねましょう。

このほか、「持続的にしっぽを体に巻きつけて動かない」「元気がない」といった様子も、痛みや体調不良のサインのことがあるため、受診の目安になります。いずれの場合も、「この症状だからこの病気」とご自身で判断したり、「これをすれば治る」と思い込んだりせず、気になるときは動物病院に相談する、を基本姿勢にしていただくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 猫がしっぽをピンと立てて近づくのはどういう意味ですか?

友好と信頼を示すサインと考えられています。行動学では tail-up と呼ばれ、相手への親しみや、攻撃の意図がないことを伝えるあいさつとされています(出典:Cafazzo & Natoli 2009。確信度:高)。先端を小刻みに震わせるときは、より強い甘えや喜びの表れのことが多いです。

Q2. 猫がしっぽを振るのは犬と同じく喜びですか?

いいえ、逆のことが多いです。犬の尻尾振りは喜びですが、猫が速く大きく振る・パタパタさせるのは、高ぶり・苛立ち・「かまわないで」のサインのことが多いとされています(出典:複数の獣医療情報メディアの整理。確信度:中〜高)。犬の感覚で読むと誤解しやすいので注意してください。

Q3. しっぽがタヌキのようにふくらむのはなぜですか?

強い驚き・恐怖・威嚇のサインと考えられています。毛を逆立てて体を大きく見せ、争いを避けようとしている状態です(出典:International Cat Care/PetMD。確信度:高)。無理に近づかず、音や刺激を減らして落ち着ける環境を整えてあげましょう。

Q4. 撫でているのにしっぽをパタパタさせ始めました。やめたほうがいい?

はい、いったん手を止めるサインのことが多いです。心地よさが「もう十分」に切り替わったと考えられ、続けると噛む・引っかくに発展することもあります(出典:Zoetis Petcare/PetMD。確信度:中〜高)。猫を責めず、そのペースを尊重して撫でを終えてあげましょう。

Q5. しっぽの動き一つで気持ちを断定できますか?

できません。同じ動きでも場面によって意味が変わります。耳・ひげ・瞳孔・姿勢、そして鳴き声などのサインと、その場の状況をあわせて読むことが大切です。研究でも、猫同士のやり取りでは耳の位置のほうが読み取りの手がかりになりやすいと報告されています(出典:Deputte et al. 2021。確信度:高)。

Q6. 子猫が自分のしっぽを追いかけて回ります。大丈夫ですか?

多くは正常な遊びや、自分の体の発見であることが多く、心配しすぎる必要はありません。ただし、執拗に追い続けてやめられない/自分のしっぽを噛んで傷つける/背中の皮膚がさざ波立つ・脱毛がある、といった様子が続くときは、念のため動物病院で相談しましょう(出典:Cornell Feline Health Center。確信度:高)。

まとめ|しっぽは「気持ちの入口」、最後はうちの子の様子で

しっぽは気持ちを知る入口です。早見表を出発点に、耳や姿勢、場面とあわせて、最後はうちの子の様子で読み取りましょう。

猫のしっぽは、気持ちを映す「もう一つの言葉」です。ピンと立てれば友好、速く振れば高ぶりや「やめて」、ふくらめば驚きや恐怖——形と動きには、その子の気持ちがよく表れます。ただし、この記事の早見表はあくまで出発点。同じ動きでも場面によって意味は変わりますし、カギしっぽや短いしっぽの子のように読み取りにくい子もいます。

大切にしたいのは、三つのこと。一つめは、しっぽだけで決めつけず、耳・ひげ・目・姿勢・状況とあわせて読む「複合読み」。二つめは、読むとは観察であって、触って確かめるものではないということ。しっぽは敏感な部位なので、掴んだり引っ張ったりしないであげてください。三つめは、猫を責めないこと。「やめて」のサインも、猫が正直に気持ちを伝えてくれている、いとおしい言葉です。

そして、声としぐさをあわせて読むと、気持ちはさらに正確に読み取れます。鳴き声については別の記事(猫の鳴き声の意味)もあわせてご覧ください。気づいてあげるほど、うちの子との距離はもっと縮まっていきます。

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※本記事の情報は2026年6月時点の獣医療情報・行動学研究・専門家見解に基づいています。猫の健康に関する判断は、かかりつけの獣医師にご相談ください。

参考文献・参照情報

1. Cafazzo, S. & Natoli, E. (2009). "The social function of tail up in the domestic cat (Felis silvestris catus)." Behavioural Processes.
2. Deputte, B.L. et al. (2021). "Heads and Tails: An Analysis of Visual Signals in Cats, Felis catus." Animals, 11(9):2752.
3. Cameron-Beaumont, C.L.(博士研究・tail-up シルエット実験)※二次言及経由.
4. Cornell University, Cornell Feline Health Center, "Hyperesthesia Syndrome".
5. VCA Animal Hospitals, "First Aid for Injured Tails in Cats".
6. PetMD, "Cat Tail Language"(Alison Gerken DVM, DACVB/Tiffany Tupler DVM 監修), "7 Common Cat Tail Injuries".
7. Zoetis Petcare, "What Your Cat's Tail is Telling You".
8. International Cat Care (iCatCare), "Cat Communication".
※しっぽの動きと気持ちの対応はいずれも一般的な傾向であり、状況・個体差で変わります。気になる症状は獣医師にご相談ください。

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