猫の鳴き声の意味|種類別の気持ちと早見表

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nyans編集部

2026年6月24日

玄関の鍵を回すと、ドアの向こうから「ニャーン」。ソファでくつろいでいると、足元から「ニャッ」。猫と暮らしていると、私たちは一日に何度も、その声を受け取っています。あの声は、誰に、何を伝えているのでしょうか。

先に結論をお伝えします。猫の鳴き声は、喉と口の使い方によって大きく3つのグループに分かれます。そして、その意味は「音だけ」で決まるものではなく、鳴いている場面や、その子のしぐさとあわせて読み取るものです。

この記事では、鳴き声を音から逆引きできる早見表、「ニャー」という声が実は人へ向けて発達したものだという研究、そして気になる鳴き方と動物病院に相談する目安まで、できるだけ正直に、出典とあわせてご紹介します。鳴き声は、猫が私たちに向けて開いてくれている小さな窓のようなもの。その読み解き方を、一緒に見ていきましょう。

結論:猫の鳴き声は「喉の使い方」で3つのグループに分かれる

猫の鳴き声は、喉と口の使い方で大きく3つのグループに分かれます。口を閉じたまま出すゴロゴロ・クルル系、口を開けて出すニャー系、そして緊張して出すシャー・唸り系です。

猫の鳴き声を「ニャー」「ゴロゴロ」「シャー」と一つひとつ覚えようとすると、種類が多くて混乱してしまいます。けれども、出し方に注目すると全体像はぐっとシンプルになります。

猫の発声をはじめて体系的に分類したのは、1944年に発表された古典的な研究です。Moelk(1944)は、飼い猫が出す声を口の使い方で次の3つに整理しました。

  • 口を閉じたまま出す声(マーマー/murmur):ゴロゴロ、クルル(トリル)など。喉を鳴らすような、穏やかで友好的な場面の声です。
  • 口を開けてから閉じていく声(母音的な声/vowel):「ニャー」の仲間。私たちが「猫の鳴き声」と聞いてまず思い浮かべる、あの声です。
  • 口を緊張させて開けたまま出す声(高強度の声/strained-intensity):シャー、唸り(グルル)、悲鳴など。恐怖や威嚇、興奮といった強い気持ちと結びつく声です。

Moelkはこの3カテゴリーをさらに細かく分け、全体でおよそ16のパターンに整理しました。約80年前の研究ですが、「口の使い方で大きく3つに分かれる」という枠組みは、今も猫の鳴き声を理解する出発点になっています(出典:Moelk, M. (1944) American Journal of Psychology 57。確信度:高)。

猫の鳴き声の3分類(口の使い方)を示す図解。口を閉じた声・口を開ける声・緊張した声の3グループと代表的な鳴き声・気持ちの傾向

ただし、ここで一つ正直にお伝えしておきたいことがあります。鳴き声の「総数」については、研究者によって5種類から16種類以上までと数え方が一致していません。つまり、すべての猫に共通する「猫語辞典」のような決定版は、まだ確立されていないのです。ですから本記事でも、鳴き声は「3つのグループでとらえる」ことをおすすめし、一つひとつの音は「こういう傾向がある」というかたちで紹介していきます。

この3グループを地図のようにしたのが、後ほどご紹介する「鳴き声マップ(早見表)」です。

「ニャー」は、人と暮らす中で人に向けて発達させた声

成猫どうしは、ふだん「ニャー」でほとんど鳴き交わしません。「ニャー」は、人と暮らすなかで人に向けて発達させた“対人用の声”だと考えられています。

意外に思われるかもしれませんが、おとなの猫どうしは、ふだん「ニャー」という声をほとんど使いません。猫どうしのコミュニケーションは、におい(嗅覚)、しっぽや耳・体の向きといったボディランゲージ、体をすり寄せる接触などが中心です。声に頼る場面は、もともとそれほど多くないのです。

では、私たちがよく耳にするあの「ニャー」は、いったい誰に向けた声なのでしょうか。

手がかりは、子猫の時期にあります。「ニャー」はもともと、子猫が母猫を呼ぶときの要求の声でした。多くの動物では、こうした子どもの鳴き声はおとなになると減っていきます。ところが飼い猫は、この子猫時代の声を大人になっても保ち続け、相手を母猫から「人」へと置きかえて使うようになったと考えられています。人と暮らすようになった歴史(家畜化)のなかで、人の注意を引き、世話を引き出すための“道具”として発達させた——というわけです。実際に、人と暮らす猫は、人にあまり馴れていない猫よりも「ニャー」とよく鳴くことが観察・指摘されています(出典:Bradshaw, J. (2013) Cat Sense。確信度:中〜高)。

ここで大切なのは、「ニャー」は特定の意味を指し示す“単語”ではない、ということです。Nicastro & Owren(2003)は、12匹の猫から5つの場面で録音した「ニャー」を人に聞かせ、どの場面の声かを当ててもらう実験を行いました。その結果、人の正答率は偶然よりは高いものの、その差はわずかでした。研究者は、「ニャー」は何か具体的な物事を指し示す信号というより、「人の注意を引く、やや訴えかけるような汎用的な合図」だと結論づけています(出典:Nicastro, N. & Owren, M. J. (2003) Journal of Comparative Psychology 117(1)。確信度:高)。

さらに近年の研究では、「ニャー」はゴロゴロに比べて“その猫らしさ(個体ごとの特徴)”の情報が少なく、しかも飼い猫は野生の近縁種よりも鳴き方のばらつきが大きいことが報告されています。言いかえると、猫の「ニャー」は全頭共通の辞書に従っているのではなく、その猫と飼い主の関係のなかで、いわば“わが家の方言”として一頭ずつ作られていくのです(出典:Russo, D., Schild, A. B. & Knörnschild, M. (2025) Scientific Reports 15。確信度:中〜高)。

だからこそ、「ニャー」が具体的に何を求めているのか(ごはん・ドアを開けてほしい・かまってほしい)は、声の種類そのものではなく、時間帯・場所・直前の状況・その子のいつもの癖といった文脈から読み取ることになります。飼い主が「わが家の猫の言いたいこと」を分かるのは、共通の辞書があるからではなく、その子との時間のなかで“その子専用の読み方”を学んできたからなのです。

種類別の意味|鳴き声マップ(早見表)と3つのグループ

鳴き声の意味は「音」だけでなく、状況とセットで決まります。下の早見表はあくまで一般的な傾向で、最後はその子の様子とあわせて読み解くのがおすすめです。

まずは、よく耳にする鳴き声を音から逆引きできる早見表をご用意しました。気になっている声を、ここから探してみてください。

鳴き声マップ(早見表)

鳴き声 気持ち・状況の傾向 典型的な場面 グループ
ニャッ(短い) 軽いあいさつ・呼びかけの傾向 目が合ったとき 口を開ける声
ニャー 注目してほしい・何かを求めていることが多い 近寄ってきたとき 口を開ける声
ニャーン(長い) 強めの要求・訴えの傾向 ごはん前・玄関先 口を開ける声
サイレントニャー(口だけ動く) 控えめな甘え・要求の傾向(意味は未確定) じっと見つめながら 口を開ける声
ゴロゴロ 満足・親しみのことが多い(不調・要求のときも) 抱っこ・休息中 口を閉じた声
クルル/トリル 親愛のあいさつ・呼びかけの傾向 すれ違いざま 口を閉じた声
シャー/フー 「近づかないで」という恐怖・防御のことが多い 知らない相手と対面 緊張した声
ウーッ(低い唸り) 警戒・距離をとりたい気持ちの傾向 対立しそうな場面 緊張した声
ウォーン(長く低い) 不安・発情・強い訴えのことがある 夜間・発情期 緊張した声
カカカ/ケケケ(クラッキング) 獲物への興奮の傾向(仕組みは仮説段階) 窓辺で鳥や虫を見て 緊張した声

この早見表の使い方

これは、研究や獣医療の知見をもとにまとめた「一般的な傾向」です。注意したいのは、同じ声でも場面によって意味が変わるということ。たとえば同じ「ニャー」でも、ごはんの前なのか、来客中なのかで、その子の気持ちはちがいます。いちばん確かなのは、うちの子がどんな場面でどんな声を出すかを記録して、その子だけのパターンを見つけていくことです。早見表は出発点として使い、最後はその子の様子で確かめてあげてください。

ここからは、3つのグループごとに、もう少しくわしく見ていきます。

グループ①:口を閉じた声(友好・甘え)

口を閉じたまま、喉を響かせるようにして出す声のグループです。多くは、リラックスや親しみといった穏やかな気持ちと結びついています。

床にゆったり寝そべり、口を閉じておだやかにくつろぐ猫

クルル/トリル(短い巻き舌のような音) は、親愛のあいさつや「こっちを見て」という友好的な呼びかけだとされています。もともとは母猫が子猫を呼ぶときの音に由来すると考えられており、人に向けて出すときも、フレンドリーに近づいてくる場面でよく聞かれます(出典:Cat communication〔一次文献ベース〕/Fear Free Happy Homes。確信度:中〜高)。

ゴロゴロ は、抱っこや休息のときなど、満足や親しみを感じている場面で出ることが多い声です。ただし、体調がすぐれないときや、何かを求めているときにも出ることがあり、「ゴロゴロ=いつも幸せ」と一義に決めつけることはできません。ゴロゴロの意味や仕組みについては、別の記事でくわしく取り上げています(猫がゴロゴロ鳴く理由をくわしく)。

なお、甘えのサインとしては、鳴き声と一緒に前足で毛布などを押す「ふみふみ」が見られることもあります。こちらも子猫時代の名残とされる行動です(猫のふみふみの意味はこちら)。

グループ②:口を開ける声(要求・訴え)

口を開けて出す「ニャー」系の声のグループです。私たちが「猫の鳴き声」と聞いて真っ先に思い浮かべるのは、おそらくこのグループでしょう。先ほどお伝えしたとおり、この「ニャー」は、猫が人と暮らす中で人に向けて発達させた声だと考えられています。

口を開けて、飼い主を見上げながらニャーと鳴く猫
  • ニャッ(短いニャー):軽いあいさつや「やあ」という呼びかけの傾向があります。目が合ったときなどに、ぽろっと出ることがあります。
  • ニャー:注目してほしい、近くに来てほしい、何かを求めている——そんな気持ちのことが多い声です。
  • ニャーン(長く伸びるニャー):一般に、声が長く強くなるほど要求も強まる傾向があるとされます。ごはんの前や玄関先で、はっきりと訴えるように鳴く場面でよく聞かれます。

サイレントニャー(口を開けるのに声がほとんど聞こえない鳴き方) は、多くの場合、控えめな甘えや要求の表れだと考えられています。すり寄り、見つめる、しっぽを立てるといったしぐさを伴うことが多く、やさしいおねだりのサインとして受け取られています。ただし、なぜ声が聞こえにくいのか、そして正確にどんな意味を持つのかは、まだはっきり分かっていません。ここは無理に断定せず、「控えめな甘え・要求の傾向で、意味は未確定」と正直にお伝えしておきます(出典:Hill's Pet/Rover/TheCatSite。確信度:中)。

「長いニャー=必ずかまって」「この音=この気持ち」と一対一で決めつけるのは、実はおすすめしません。鳴き声の意味は、次の章でお伝えするとおり、音だけでなく状況とあわせて読むほうが正確だからです。

グループ③:緊張した声(威嚇・興奮)

緊張や高ぶりとともに出る声のグループです。このグループは、ほかにくらべて意味が比較的はっきりしているのが特徴です。

シャー/フー は、「怖い」「近づかないで」という恐怖や防御の気持ちと結びついた声です。攻撃したいというより、物理的なぶつかり合いを避けたいときの合図で、知らない相手と対面した場面などで出ます。ここで大切なのは、シャーを「悪い子」「怒りっぽい子」のサインと受け取らないこと。それは、その子が不安を感じていて、距離をとりたいと正直に伝えてくれているサインです。無理に近づけず、安心できる距離を用意してあげてください(出典:Cat communication〔一次文献ベース〕/Cats.com/Fear Free Happy Homes。確信度:高)。

ウーッ(低い唸り) は、警戒し、相手と距離をとりたいときに出る傾向があります。シャーと同じく、対立しそうな場面で見られます。

ウォーン(長く低く尾を引く声) は、不安や発情、強い訴えのときに出ることがあります。夜間に出る場合や、中〜高齢の猫で新たに見られるようになった場合は、体調のサインのこともあるため、次の章の受診目安もあわせてご覧ください。

カカカ/ケケケ(クラッキング) は、窓越しに鳥や虫を見つけたときなどに出る、カチカチと歯を鳴らすような音です。これは威嚇ではなく、獲物への興奮や狩りの気持ちと結びついた“興奮系”の声です。届かないものへのもどかしさの表れともいわれます。なお、その仕組み(獲物の鳴き真似ではないか、という説など)はまだ仮説の段階です(出典:Cats.com/PetMD/Cat communication。確信度:中、仕組みは仮説)。

鳴き声だけでは意味を正確に読めない|状況とあわせて読む

実は人は、鳴き声の“音だけ”から意味を正確に当てるのが得意ではありません(どの場面でも正答率は半数未満という研究があります)。だからこそ、声・状況・しぐさをセットで読むのが確実です。

「うちの子の声なら、聞けば分かる」——そう感じている飼い主の方は多いと思います。その感覚はとても大切なものですが、「音だけ」を取り出すと、人は猫の気持ちを思っているほど正確には当てられないことが、複数の研究で示されています。

イタリアの研究チームによる「What's in a Meow?(Prato-Previde et al., 2020)」では、3つの場面(ごはんを待っているとき/ブラッシングされているとき/慣れない環境でひとりにされたとき)で録音した「ニャー」を人に聞かせ、どの場面の声かを当ててもらいました。結果は、どの場面でも正答率は5割に届きませんでした。つまり、声の“音”という手がかりだけでは、半分以上のケースで場面を取りちがえてしまうということです(出典:Prato-Previde, E. et al. (2020) Animals 10(12)。確信度:高)。

先ほど紹介したNicastro & Owren(2003)でも、結論は同じ方向でした。単発の「ニャー」より複数回続いた“鳴きの束”のほうが当てやすく、また猫と暮らした経験がある人ほど正答率が上がりました。意味は音そのものにあるのではなく、状況・関係性・繰り返しのなかから立ち上がってくる、ということです(出典:Nicastro & Owren (2003) Journal of Comparative Psychology 117(1)。確信度:高)。

このことは、声の物理的な性質からも裏づけられます。同じ「ニャー」でも、場面によって長さ・基本周波数(声の高さ)・抑揚(イントネーション)が変化することが報告されています。たとえば、ごはんに関係する場面では声が上がり調子に、苦手な場面では下がり調子になりやすいといった傾向です。同じ「ニャー」という“見出し”でも、中身は場面ごとに違う——だからこそ、音だけで意味を確定するのは難しいのです(出典:Schötz, S., van de Weijer, J. & Eklund, R. (2024) Applied Animal Behaviour Science 270。確信度:中〜高)。

ここで大切なのは、これを「飼い主は猫の気持ちが分からない」という話にしないことです。むしろ逆で、「音だけだと外しやすいからこそ、状況やしぐさもあわせて見てあげると、ぐっと読み取りやすくなる」ということです。

おすすめは、「鳴き声 × 状況 × しぐさ(しっぽ・耳・体の向き)」をセットで読むことです。たとえば同じ「ニャーン」でも、しっぽをピンと立てて近寄ってくるのか、低く身をかがめて耳を伏せているのかで、伝えたいことはまるで変わります。声は大事な手がかりの一つ。けれど“唯一の手がかり”ではない、という構えでいると、その子の気持ちにより近づけます。

注意したい鳴き方と受診の目安

鳴き方が「急に・はっきり」変わったときは、体調のサインのことがあります。とくに中〜高齢の猫に新しい夜鳴きが出たときは、まず動物病院でご相談ください。

鳴くこと自体は、猫にとってごく自然で健康的な営みです。だからこそ、いつもの鳴き方を知っておくと、「いつもと違う」変化に気づきやすくなります。ここでは、気になる鳴き方の背景と、受診を考えたい目安を整理します。

気になる夜鳴き・鳴き方の変化の背景

夜に大きな声で鳴く、最近よく鳴くようになった——こうした変化の背景には、発情、空腹、かまってほしい気持ち、環境の変化によるストレス、不安など、さまざまな理由が考えられます。

ここで大切にしたいのは、こうした鳴き方を「わがまま」や「しつけ不足」として捉えないことです。鳴き声は、その子が何かを伝えようとしているサインです。叱ったり、無視したりして抑え込もうとするのではなく、「何を伝えたいのかな」と背景を探ってあげるほうが、その子にとっても私たちにとっても近道になります。空腹なら食事のリズムを、不安なら安心できる環境を——人と環境の側を整えてあげることで、落ち着いていくことが少なくありません。

中〜高齢の猫の夜鳴きで考えておきたいこと

シニア期に入った猫で、夜鳴きや大きな声が新しく出てきたときは、加齢のせいと決めつけず、一度、体調の変化を確認しておくと安心です。気になる変化があるときは、まず動物病院でご相談ください。

その背景には、いくつかの体調の要因が関わっていることがあります。たとえば、甲状腺機能亢進症や高血圧、加齢にともなう認知機能の変化(いわゆる猫の認知症)、関節などの痛み、視力・聴力の衰えからくる不安などです。いずれも、夜間の発声が増える背景として知られています。ただし、これらはあくまで「こうしたことがあります」という可能性で、鳴き方の変化から病名を決めることはできません(出典:Cornell Feline Health Center "Cognitive Dysfunction"/VCA "Cat Behavior Problems – Vocalization"/Landsberg, G. M. et al. (2010) JFMS 12(11)。確信度:高)。気になる変化があれば、早めに動物病院でご相談ください。

受診を考えたい目安

次のようなときは、一度、動物病院に相談することをおすすめします。

  • 鳴き方・声の質・頻度が、急に・はっきり変わった
  • 中〜高齢の猫で、夜鳴きや大きな声が新しく出てきた
  • 鳴き方の変化に加えて、体重の減少・食欲や飲水量の変化・トイレの様子の変化・嘔吐・隠れることが増えたなどが重なっている
  • 痛がるそぶり・触られるのを嫌がる・動き方の変化をともなっている

こうした変化は、その子が私たちに送ってくれている大切なサインです。気づいてあげられたことは、その子のためにできる、いちばんのことのひとつだと私たちは考えています。

※本記事は一般的な情報をまとめたもので、診断・治療に代わるものではありません。気になる症状があるときは、必ずかかりつけの動物病院にご相談ください。

あまり鳴かない猫は、異常ではありません

あまり鳴かないのは、その子の個性や品種の傾向であることが多く、異常とは限りません。「急に鳴かなくなった」などの変化だけ、気にかけてあげましょう。

「うちの子はあまり鳴かないけれど、どこか具合が悪いのでは」と心配される方もいらっしゃいます。でも、どれくらい鳴くかには大きな個体差があり、もともと静かな子もたくさんいます。品種によっても、よくおしゃべりする傾向の子と、もの静かな傾向の子がいます。

あまり鳴かず、静かにくつろいで過ごす猫

大切なのは、鳴く量の多い・少ないを、その子の性格の良し悪しに結びつけないことです。静かな子は、声以外の方法——しっぽの動き、すり寄り、まなざし——で、ちゃんと気持ちを伝えてくれています。その子なりの伝え方に気づいてあげられると、コミュニケーションはもっと豊かになります。

気にかけたいのは、「これまでよく鳴いていた子が急に鳴かなくなった」「声がかすれてきた」といった、ふだんからの変化です。そうしたときは、念のため動物病院で相談しておくと安心です。

よくある質問(FAQ)

Q1. 猫が急にたくさん鳴くようになったのは、なぜですか?

急な変化は、空腹・発情・環境の変化によるストレス・不安など、さまざまな理由が考えられます。一方で、体調のサインのこともあります。とくに中〜高齢の猫で「急に・はっきり」鳴き方が変わったときは、体重や食欲、トイレの様子もあわせて確認し、気になる変化があれば動物病院にご相談ください。

Q2. 夜中に大きな声で鳴くのを、やめさせるにはどうすればいいですか?

まずは「やめさせる」より「背景を探る」ことをおすすめします。空腹、不安、環境の変化などが隠れていることがあるためです。叱ったり無視したりして抑え込むのではなく、食事のリズムや安心できる環境を整えてあげるのが基本です。中〜高齢の猫で夜鳴きが新しく出てきた場合は、体調のサインのこともあるので、一度受診をご検討ください。

Q3. サイレントニャー(口だけ動かす鳴き方)には、どんな意味がありますか?

多くは、控えめな甘えや要求の表れと考えられています。すり寄りやアイコンタクトを伴うことが多く、やさしいおねだりのサインとして受け取られています。ただし、正確な意味はまだはっきり分かっていません。「控えめな甘え・要求の傾向で、意味は未確定」と理解しておくのがよいでしょう。

Q4. 猫の鳴き声で、本当に気持ちがわかるのですか?

鳴き声の「音だけ」から意味を正確に当てるのは、実は人にとって簡単ではないことが研究で示されています(正答率は半数未満でした)。だからこそ、声・場面・しぐさをセットで読むのが確実です。そして、その子と過ごす時間が長いほど、「この場面のこの声は、こういうこと」というその子だけのパターンが見えてきます。

Q5. あまり鳴かないのは、病気のサインですか?

多くの場合、個性や品種の傾向で、異常とは限りません。気にかけたいのは「これまで鳴いていた子が急に鳴かなくなった」「声がかすれてきた」といった変化です。そうしたときは、念のため動物病院に相談すると安心です。

Q6. 猫は、人間の言葉を真似して鳴くことがありますか?

言葉そのものを真似しているわけではありません。ただ、猫は人と暮らす中で、人に届きやすい「ニャー」という声を発達させてきたと考えられています。言語の模倣ではなく、私たちとコミュニケーションをとるために磨かれた声、と捉えるのがよいでしょう。

まとめ

猫の鳴き声は、喉と口の使い方によって大きく3つのグループに分かれます。意味が比較的はっきりしているシャーなどの「緊張した声」もあれば、「ニャー」のように、音だけでは意味が決まらず、人に向けて発達してきた声もあります。

だからこそ、鳴き方を図鑑のように暗記するより、音・場面・しぐさをセットで見てあげるほうが、その子の気持ちにぐっと近づけます。そして、「急に・はっきり」変わった鳴き方は、体調のサインのことがあります。気になる変化に気づいたら、早めに動物病院に相談してあげてください。

私たちからの提案は、うちの子の声を少しずつ記録して、その子だけの「鳴き声の辞書」を一緒に作っていくこと。同じ「ニャー」でも、その子にとっての意味は、その子と過ごす毎日の中でしか見つかりません。声に耳をすませるほど、猫はきっと、もっと愛おしくなっていきます。

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※本記事の情報は2026年6月時点の学術研究・専門家見解に基づいています。猫の健康に関する判断は、かかりつけの獣医師にご相談ください。

参考文献

1. Moelk, M. (1944). "Vocalizing in the House-Cat: A Phonetic and Functional Study." American Journal of Psychology, 57(2), 184–205.
2. Nicastro, N., & Owren, M. J. (2003). "Classification of Domestic Cat (Felis catus) Vocalizations by Naive and Experienced Human Listeners." Journal of Comparative Psychology, 117(1), 44–52.
3. Prato-Previde, E., Cannas, S., Palestrini, C., Ingraffia, S., Battini, M., Ludovico, L. A., Ntalampiras, S., Presti, G., & Mattiello, S. (2020). "What's in a Meow? A Study on Human Classification and Interpretation of Domestic Cat Vocalizations." Animals, 10(12), 2390.
4. Schötz, S., van de Weijer, J., & Eklund, R. (2024). "Context effects on duration, fundamental frequency, and intonation in human-directed domestic cat meows." Applied Animal Behaviour Science, 270, 106146.(オンライン公開 2023)
5. Russo, D., Schild, A. B., & Knörnschild, M. (2025). "Meows encode less individual information than purrs and show greater variability in domestic than in wild cats." Scientific Reports, 15.
6. Landsberg, G. M., Denenberg, S., & Araujo, J. A. (2010). "Cognitive dysfunction in cats: a syndrome we used to dismiss as 'old age'." Journal of Feline Medicine and Surgery, 12(11), 837–848.
7. "Potential Causes of Increased Vocalisation in Elderly Cats with Cognitive Dysfunction Syndrome as Assessed by Their Owners." Animals (2020), 10(6), 1092.
8. Bradshaw, J. (2013). Cat Sense: How the New Feline Science Can Make You a Better Friend to Your Pet. Basic Books.
9. (補助)Cornell Feline Health Center "Cognitive Dysfunction"; VCA Animal Hospitals "Cat Behavior Problems – Vocalization".

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