猫がふみふみするのはなぜ?オキシトシンと「お母さんの記憶」で読み解く愛猫の心

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そえじま

2026年6月16日

ある夜のことです。布団の上で、私の愛猫レオが前足を交互にゆっくり押し続けていました。目はとろりと細められ、喉はゴロゴロと低く鳴り、口元はわずかにゆるんでいます。私はそれを、ただぼんやりと眺めていました。

この瞬間、彼の頭の中では何が起きているのでしょうか。

実をいうと、私たちはこの問いに対して、はっきりと答えを返すことができません。ふみふみという行動について、科学はまだ多くを語れていないのです。Cats Protectionの研究員ローレン・フィンカ博士も「ふみふみは興味深い行動ですが、深く科学的に研究されてはいません」と率直に認めています。世間で語られる「ふみふみの理由」の多くは、ふみふみそのものを観察・測定した実験結果ではなく、関連する別の研究を組み合わせた推論です。

それでも、私たちはこの愛らしい行動の奥にあるものを、できるだけ誠実に、できるだけ正確に読み解いてみたいと思います。本記事では、現時点で確からしいこと、推測されていること、そしてまだ分かっていないことを、できるだけ正直に整理してみます。一緒に、レオのような猫たちの小さな前足のリズムを覗いてみましょう。

ふみふみは「お母さんの記憶」が呼び起こす儀式

ふみふみは、英語では「milk treading(ミルクトレッディング)」と呼ばれます。動物行動学者のデズモンド・モリスが、著書『Catwatching』(1986年)の中で広く紹介した言葉です。

その起源は、生後数日の哺乳期にさかのぼります。目もまだ開かない子猫は、本能的に母猫の乳腺の周辺を前足で交互に押します。この圧迫が母猫側にオキシトシンの分泌を促し、催乳反射(射乳反射)を起こして、母乳が出るのです。子猫にとっては、押せば温かい乳が湧き出るという、生まれて最初の「成功体験」のようなものでしょう。あたたかさ、やわらかさ、母の匂い、そして満ち足りた感覚。それらが押すというリズムと一つに結びつき、子猫の神経回路に深く刻まれていきます。

不思議なのは、本来であれば離乳とともに姿を消していくはずのこの動作が、成猫になっても残り続けることです。これを行動学ではネオテニー(幼形成熟)という考え方で説明します。家畜化されたイエネコは、子猫期の運動パターンや行動を、成猫になっても保ち続ける傾向が強いとされているのです。ふみふみだけでなく、ゴロゴロや遊び行動も、本来は子猫期の特徴です。それらを大人になっても残しているのが、私たちの傍らで暮らす猫たちの姿なのです。

ここで一つ、注意しておきたいことがあります。「ふみふみしている猫は、飼い主を母猫だと思って甘えている」「あの子は今、お母さんを求めているのです」といった解釈は、私たち飼い主にとっては心地よい物語ですが、行動学的にはやや踏み込み過ぎだと考えられています。猫が私たちを母猫として認識しているという証拠は、現状では提示されていません。より保守的に表現するなら、ネオテニーで残った神経・運動パターンが、リラックスしているときに自動的に再生されている、と書くほうが正確かもしれません。

ぼくの前足は、ぼくが覚えていないころの動きを覚えている。お母さんの胸を、ぼくはもう探していないけれど、夜、きみの布団の上で、それは静かに戻ってくるんだ。

——というふうに、もし猫が言葉を持ったら語るかもしれない、と私は時々想像します。けれども、それはあくまで私の側の物語であって、レオの主観そのものではないのでしょう。彼の前足だけが、彼の覚えていない時間のことを、ひとりでに思い出している。そう考えるほうが、私には誠実なように感じられます。

猫の本能行動についてもう少し詳しく知りたい方は、この記事の最後にご紹介する関連記事「ぼくが爪をとぐ理由」もあわせてどうぞ。

科学が見ている「幸せホルモン」のはたらき

ふみふみ中の猫の体内では、何が起きているのでしょうか。よく語られるのが、オキシトシンとエンドルフィンという二つのホルモンの名前です。

オキシトシンは、哺乳類の母子の絆や社会的なつながりに深く関わるホルモンです。母猫が子猫に授乳するとき、母猫の体内で分泌され、母乳の流出と母性行動の両方を支えます。さらに近年の研究では、飼い主と猫が穏やかに触れ合うとき、双方にオキシトシンが分泌される傾向があると報告されています。犬と人の関係では、互いの目を見つめ合うだけで双方のオキシトシンが上昇する「ポジティブ・ループ」の存在も確認されており(Nagasawa et al., 2015)、犬ほど大規模ではないものの、猫と人の間にも近い神経メカニズムが働いている可能性が示唆されています。

エンドルフィンは、多幸感や痛みの緩和に関わる、体の中で作られるオピオイド系の物質です。心地よい刺激や安心の場面で分泌され、「気持ちいい」という感覚そのものを支えていると考えられています。

ここで、一つ正直に書いておかなければなりません。実のところ、ふみふみという行動の最中に、猫のオキシトシンやエンドルフィンの分泌を直接測定した研究は、現時点で確認できていません。私たちが知っているのは、授乳中の母猫での分泌、人と猫の触れ合いでの分泌、犬での同様の現象などです。それらはふみふみと地続きの現象ではありますが、ふみふみそれ自体の神経内分泌反応については、推測の域を出ていない、というのが正確なところです。

それでも、私はこう考えています。ふみふみ中の猫が見せる、目のとろみ、低く長いゴロゴロ、全身の脱力、口元から伝わるよだれ。これらはすべて、強い快情動の表出として読み取れる観察事実です。神経内分泌の正確な動きが見えていなくても、彼らがその瞬間、深い安心の中にいることだけは確かでしょう。「分かっていない部分はある。けれども、心地よいのは間違いない」。私たちが言えるのは、ここまでです。

行動から心理を読み解こうとする試みを別の角度から知りたい方は、関連記事「爪とぎから愛猫の性格を読み解く」もご覧ください。

大人の猫がふみふみする7つの理由

ここからは、成猫がふみふみする「理由」として語られる説を、7つに整理してみます。ただし大切なのは、それぞれの説の確からしさには大きな濃淡がある、ということです。本記事では以下の3つのラベルで濃淡を明示しながら進めます。

【行動学的に有力な解釈】:多くの行動学テキストで支持されている説
【一般によく語られる説】:流通しているが、直接の検証データが乏しい説
【特定の文脈で観察される現象】:状況依存で発現する現象

理由①「お母さんの記憶を呼び起こしている」【行動学的に有力】

哺乳期のミルクトレッディングが、ネオテニーによって成猫期まで保存されているという、もっとも基本となる解釈です。柔らかくて温かいものに触れると、神経回路の奥にある運動パターンが、ひとりでに動き出します。子猫の頃の自分が、押せばかならず満たされていた、あの感覚に戻る瞬間です。

理由②「安心している・自己鎮静している」【行動学的に有力】

柔らかく温かい接触刺激は、猫を自己鎮静(self-soothing)の状態へ運ぶ引き金になります。ゴロゴロや脱力と同期して観察されることが多く、「気持ちを落ち着けている」と読み取れる場面です。寝る前のルーティンとしてふみふみする子が多いのも、この働きの一つでしょう。

理由③「飼い主への愛情表現・信頼の証」【一般によく語られる説】

ふみふみは「愛情表現」と語られることが多い行動です。確かに、Vitaleら(2019)の研究では、猫の約65%が飼い主に対して安全基地型の愛着を示すと報告されており、人間の乳児(約65%)とほぼ同率という驚くべき数字でした。

ただし「ふみふみが愛着の指標である」とまで踏み込むのは、現状のエビデンスでは少し過剰解釈にあたるかもしれません。より保守的に表現するなら、ふみふみはリラックスして信頼できる相手にだけ見せる行動である、と書くほうが正確でしょう。お腹に乗ってきてふみふみする愛猫は、少なくとも今、あなたの隣で安心している。それだけは確かです。

理由④「寝床を整えている」【行動学的に有力(祖先行動)】

野生のネコ科動物が、就寝の前に草や落ち葉を踏みしめて、平らで安全な寝床を作る行動があります。ふみふみした後にその場で丸まって寝る子が多いのは、この寝床整備行動の流れと整合します。布団の上でしばらく前足を動かしてから、満足げに目を閉じる愛猫の姿には、何万年もさかのぼる祖先たちの身体の記憶が、確かに残っているのでしょう。

理由⑤「マーキングをしている」【一般によく語られる説/注意書きあり】

猫の前足の指のあいだには指間腺という臭腺があり、フェロモンを分泌することは確認されています。ここから「ふみふみは肉球で匂いをつけるマーキング行動だ」という説が広まっています。

ただし、ここでも誠実に書いておきたいことがあります。ふみふみの最中に、実際にどれだけのフェロモンが放出されているのかを定量した研究は、確認できていません。「肉球には臭腺がある」「ふみふみは肉球を使う」「だからふみふみはマーキングだ」という流れは、論理的にはやや飛躍があり、爪とぎ研究の知見をふみふみに転用した解釈である可能性も指摘されています。マーキング機能はあるかもしれませんし、ないかもしれません。今のところ、そう書くのが正確だろうと思います。

理由⑥「発情期のサイン」【特定の文脈で観察される現象】

未避妊のメス猫が発情期に見せる、後ろ足での足踏みと尾を持ち上げる姿勢は、繁殖文脈の独立した運動パターンです。リラックス時に前足で押すふみふみとは、本来別系統の動きと考えられています。鳴き声や姿勢で見分けられるので、文脈で判断しましょう。

理由⑦「ストレスの自己鎮静(置換行動の可能性)」【特定の文脈で観察される現象】

普段ふみふみをしない猫が、引っ越しや新しい同居動物の到来をきっかけに頻度を上げる場合があります。これは快情動の表出というより、自己鎮静のための反復刺激と読み取れる場面です。次の項で扱うウールサッキング(毛布吸い)を伴う場合は、強迫的な行動の可能性もあるため、注意して観察する必要があります。

7つの理由を見渡してみると、ふみふみは単一の答えに収まる行動ではない、ということがよく見えてきます。哺乳期の運動プログラムを土台にしながら、自己鎮静、寝床作り、社会的シグナル、ときにストレス反応まで、複数の機能が文脈に応じて重なり合って表出している。そう考えるのが、現時点でもっとも妥当な見方だろうと思います。

状況別「ふみふみマップ」

「7つの理由」のうちのどれが今ふみふみを引き起こしているのかは、観察の手がかりからある程度読み取れます。ここでは対象・時間帯・付随行動の3つの軸でマップを描いてみます。

対象別

毛布・クッション → 安心・寝床整備の組み合わせ。寝る前のルーティンが多い印象です
飼い主のお腹・膝 → 信頼とリラックスの組み合わせ。あなたの体温と匂いに反応していると読み取れます
自分のしっぽ・脚 → 自己鎮静の可能性
空中(何もない場所) → 神経パターンの自動再生・夢見と関連の可能性。半分眠っている時に見られます

時間帯別

寝る前ルーティン → 寝床整備と自己鎮静が中心
早朝・甘えタイム → 飼い主との接触儀式
帰宅時の出迎え → 安心の表出

付随行動

ゴロゴロ → 快情動の同期。ゴロゴロには25-150Hzの帯域があり、骨形成や疼痛緩和と重なるとする「自己治癒仮説」が提唱されていますが、追試は十分ではなく、仮説の段階にとどまります
よだれ → 哺乳期に母乳を期待してよだれが出ていた条件反射の名残と考えられています
噛む → 強い快情動による軽度の興奮、または早期離乳との関連の可能性
布を吸う(おっぱい吸い) → ウールサッキングの可能性。次の項で改めて扱います

愛猫がいつ、どこで、何に向かって、どんな付随行動とともにふみふみをするのか。観察を続けていくと、その子だけのパターンが見えてくるはずです。

「ふみふみしない子」は愛情がないわけではない

ここで、しばしば私のもとに寄せられる相談に触れさせてください。「うちの子はふみふみをしません。愛情が足りていないのでしょうか」というご質問です。

結論から書きます。ふみふみは愛情のバロメーターではありません

しない子には、いくつかの理由が考えられます。母猫と十分な期間を過ごし、しっかり親離れを完了させた成猫は、ふみふみが減る傾向があります。これはむしろ、自立した良い猫の証ともいえるでしょう。また、オス猫は人前ではしないことが多いと言われます(ただしこれを定量的に検証した研究は限られており、個体差のほうが大きいというのが実情です)。さらにシンプルに、性格的にしない子もいます。

そしてもう一つ、ぜひ書いておきたいことがあります。「ふみふみが激しいのは早期離乳された証拠だ」という言説についてです。この説は、現存するエビデンスからはほぼ否定されています。哺乳瓶で人工哺育された子猫もふみふみを行いますし、ほぼすべての成猫がふみふみをする以上、これを「特定の猫だけの異常行動」とは説明できません。早期離乳と関連が示唆されているのは「ふみふみそのもの」ではなく、後で扱うウールサッキング(毛布吸い)です。これも特定品種での研究結果に限定されます。激しくふみふみする愛猫を見て、「私が早く引き離してしまったから」と自分を責める必要は、ありません。

しない子も、激しい子も、あなたの愛猫はあなたの愛猫です。愛情は、ふみふみの有無では測れません。

こんなふみふみは要注意|異常サインと受診目安

ふみふみは基本的に微笑ましい行動ですが、ごく一部のケースでは、健康上のサインとして読み取るべき場合があります。本項は飼い主のみなさまに向けた、もっとも実用的なパートだと考えています。

注意したい4つのケースを挙げます。

1. これまでしなかった猫が急に始めた

中〜高齢になってから、あるいは引っ越しや新しい同居者の登場の後に、突然ふみふみを始めるようになった場合。不安・ストレスでの自己鎮静が現れている可能性があります。生活環境に変化がなかったかを思い返してみてください。

2. 異常に長時間・頻回

数十分にわたって続く、一日に何度も繰り返す、といった頻度や持続時間が極端に大きい場合は、強迫行動・常同行動の可能性があります。

3. ウールサッキング(毛布吸い・布の誤飲)を伴う

布を吸う、噛む、最終的に飲み込んでしまう、という行動が伴う場合は、異食行動(pica)の前駆症状の可能性があります。バーマン猫では早期離乳との関連、シャム猫では医学的併発症との関連が報告されています(Borns-Weil et al., 2015)。誤飲は腸閉塞のリスクがあるため、注意深い観察が必要です。

4. 高齢猫が延々と続ける

シニア期の愛猫が、これまでとは違う様相で延々とふみふみを続けるようになった場合。認知機能不全症候群(いわゆる猫の認知症)や、変形性関節症による前肢の違和感を紛らわせる行動の可能性があります。6歳以上の猫の61%が少なくともひとつの関節に変形性関節症を抱え(Slingerland et al., 2011)、12歳以上の猫の約9割に変性関節疾患の所見が認められたという報告もあります(Hardie et al., 2002)。

受診目安

以下のいずれかに当てはまる場合は、かかりつけの獣医師、特に動物行動診療科への相談をおすすめします。

・急にふみふみが始まり、1週間以上続いている
・頻度や持続時間が急増している
・布を実際に飲み込んでいる、または飲み込んだ可能性がある
・食欲不振・元気のなさ・排泄異常など他の変化を伴う
・高齢猫で、夜鳴き・徘徊・見当識の混乱と一緒に起きている
・前足を頻繁に舐め続ける、趾行や歩き方の違和感を伴う

ふみふみそのものを「やめさせる」必要はほとんどありません。ただ、私たちにできることは、よく観察して、いつもと違う気配を見逃さないことです。

ふみふみが「強い・痛い」ときの飼い主の対処

ふみふみは可愛らしい行動ですが、爪が当たる、布を噛んでくる、布をくわえて吸い始める、といった具体的な悩みも生まれます。基本的な考え方と対処を整理しておきます。

爪が当たって痛いとき

まず、やめさせる必要はありません。ふみふみはコミュニケーションの一形態であり、無理に止めさせるのは双方にとって良いことではないと、私は考えています。

おすすめの対処は次の通りです。

タオルやクッションを間に挟む:もっとも手軽で、お互いに痛くない方法です
日頃から爪とぎ環境を整える:自然な爪のセルフケアを促すという方法もあります。爪とぎで先端が適度に整っていれば、ふみふみのときの引っかかりも軽くなります

噛んでくるとき

ふみふみの最中に軽く噛んでくる場合、それは強い快情動による軽度の興奮であることがほとんどです。叱責で対応しないでください。猫の問題行動全般に対する罰の効果を検証した研究では、罰によるしつけはむしろ問題行動を増加させることが繰り返し示されています(爪とぎ問題を対象としたCisneros et al., 2022 ほか)。落ち着くまで静かに見守るか、そっと体勢を変えてあげるのが、お互いに穏やかな対応になります。

布を吸うとき

短時間で、布を傷めず、誤飲のリスクがなければ、無理にやめさせる必要はありません。ただし長時間続く、布を実際に飲み込んでいる、特定の素材に強く執着するといった場合は、ウールサッキングの可能性があるため、前項で挙げた受診目安に従ってください。

爪とぎ環境の整え方や爪のセルフチェックについては、この記事の最後にご紹介する関連記事もあわせてお読みいただけます。

よくあるご質問(FAQ)

Q1. 猫はいつからふみふみするようになりますか?

子猫は生後数日、目が開く前から本能的に始めます。母猫の乳腺を押して催乳反射を促すための行動で、哺乳期の自然な発達の一部です。成猫でも続く場合は、ネオテニー(幼形成熟)でこの運動パターンが残っていると考えられています。

Q2. 急にふみふみしなくなったのは病気のサインでしょうか?

加齢による変化や、生活リズムの変化(季節・引っ越し・新しい同居動物)の影響であることが多く、必ずしも病気のサインとは限りません。ただし食欲不振・元気のなさ・隠れる時間の増加など他の変化を伴う場合は、念のため獣医師に相談すると安心です。

Q3. ふみふみしながらよだれが出るのはなぜですか?

哺乳期に母乳を期待してよだれが出ていた条件反射の名残と考えられています。ふみふみ中の強い快情動でリラックスし、口元の筋肉がゆるむこととも関連しているでしょう。多くの場合は健康な反応ですが、量が極端に多い・においがきつい・歯茎の異常を伴う場合は口腔疾患の可能性もあるため、受診をおすすめします。

Q4. ふみふみと一緒に布を吸うのはやめさせるべきですか?

短時間で、布を傷めず、誤飲のリスクがなければ、無理にやめさせる必要はありません。ただし長時間続く・布を実際に飲み込んでいる・特定の素材に強く執着する場合は、ウールサッキング(異食行動)の可能性があります。バーマン猫やシャム猫では特に注意が必要です。誤飲リスクがあるなら布を片付け、獣医師や動物行動診療科に相談しましょう。

Q5. オスとメスでふみふみの頻度は違いますか?

一般に「オスは人前ではしないことが多い」と言われますが、これを定量的に検証した研究は限られており、個体差のほうが大きいというのが実情です。発情期のメスでは、後ろ足で足踏みする行動がふみふみと混同されやすいので、文脈で見分けるとよいでしょう。

Q6. ふみふみが激しくて爪が当たって痛いとき、どうすればよいですか?

タオルやクッションを間に挟むのが手軽な対処です。日頃から爪とぎ環境を整え、自然な爪ケアを促すことも有効でしょう。叱ってやめさせる必要はありません。ふみふみは信頼の表れの一つでもあるので、お互いに痛くない方法で受け止めてあげてください。

おわりに

ふみふみについて分かっていること、まだ分かっていないこと、その両方を一緒に眺めてきました。哺乳期の運動パターンの残存、ネオテニー、オキシトシン、寝床整備、自己鎮静、マーキング、発情、置換行動。一つの愛らしい仕草の奥には、これだけの仮説と観察と、そして「まだ分からない」という余白が広がっています。

今夜もし愛猫がふみふみを始めたら、その小さな前足のリズムが、彼らの記憶のどこから来ているのかを、少しだけ思い浮かべてみてください。答えは一つではありませんし、もしかすると、私たちには永遠に分からないままかもしれません。それでも、その瞬間の彼らが、深い安心の中にいることだけは確かです。

そしてもし、爪が当たる悩みや、爪のセルフケアについて気になるところがあれば、私たちが作った爪とぎを覗いてみてください。

※本記事の情報は2026年6月時点の学術研究・専門家見解に基づいています。猫の健康や行動に関する判断は、かかりつけの獣医師にご相談ください。

参考文献

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