猫が爪とぎを使わないのは「場所」のせい?行動学から導く配置の考え方

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そえじま

2026年5月15日

目次

レオが我が家にやってきて最初の1週間、私はリビングの隅に真新しい爪とぎを置きました。ペットショップで勧められた麻縄の縦型ポスト。「ここに置けば大丈夫ですよ」と店員さんに言われた通り、部屋の入口の横に、まっすぐ立てて。

レオはその爪とぎの横を、毎朝素通りしていきました。

爪とぎの近くにいるラグドールのレオ。新しい爪とぎを試そうとする様子

代わりに向かったのは、リビングのソファでした。7.5キロの体をぐっと伸ばし、前足をソファの角に引っかけて、ガリガリと。ラグドールらしい長い体を目一杯使って研ぐその姿を見ながら、私はスマートフォンで「猫 爪とぎ 置き場所」と検索していました。

検索結果にはたくさんの「正解」が並んでいました。玄関に置きましょう。部屋の入口に置きましょう。猫の動線上に置きましょう。どれも、もっともらしく聞こえます。しかし、それらを一つずつ試してみても、レオの行動は変わりませんでした。

この経験から、私は一つの疑問を持ちました。そもそも「正解の場所」は存在するのだろうか、と。

この記事では、猫の行動学に関する最新の研究データをもとに、爪とぎの配置について「本当に大切なこと」を整理していきます。先に結論を申し上げると、万猫に通用する「正解の場所」はおそらく存在しません。しかし、あなたの猫にとっての「最適な場所」を見つけるための考え方は、確かにあります。

猫はなぜ爪をとぐのか?行動学が教える4つの理由

家具の近くで爪とぎを使うラグドールのレオ。ストレッチを兼ねた爪とぎ行動

爪とぎの「どこに置くか」を考える前に、まず「なぜ猫は爪をとぐのか」を理解しておく必要があります。理由がわかれば、おのずと配置のヒントが見えてきます。

ストレッチ ― 肩や前肢の筋肉を伸ばす全身運動

猫が寝起きに大きく伸びをしながら爪を研ぐ姿は、多くの飼い主にとって見慣れた光景ではないでしょうか。

爪とぎは、猫にとって全身のストレッチでもあります。前足を高い位置や遠い位置に伸ばし、背中から肩にかけての筋肉を引き延ばす。特に室内飼いの猫にとっては、限られた空間で体を伸ばせる貴重な運動機会です。DePorter & Elzerman(2019)も、爪とぎ行動にはストレッチとしての機能があることを指摘しています。

レオも例に漏れず、起き上がると真っ先に体を伸ばします。7.5キロのラグドールが全身を使ってぐーっと伸びる姿は、見ていて気持ちがいいものです。ただ、その「伸び」の先にソファがあるのが問題でした。

爪のメンテナンス ― 古い外層を剥がす生理的行動

猫の爪は何層にも重なった構造をしています。爪とぎをすることで、古くなった外側の層が剥がれ落ち、内側の鋭い新しい爪が出てきます。爪とぎの周りに薄い爪の殻が落ちているのを見たことがある方も多いでしょう。これは爪とぎが正常に機能している証拠です。

この「剥がす」動作には、ある程度の引っかかりと抵抗感が必要です。だからこそ猫は、ツルツルした面よりも、爪が食い込む素材を好みます。

マーキング ― 視覚と嗅覚による情報伝達

爪とぎ=縄張りのマーキング。この説明を目にしたことがある方は多いと思います。猫の足裏にある臭腺から分泌されるフェロモンと、爪痕という視覚的なサインを残すことで、自分の存在を示す行動だと、長年説明されてきました。

しかし、最近の研究を見ていくと、この「マーキング理論」には再検討の余地があるようです。

2025年に発表されたBraggsとMillsの研究では、1,797名の飼い主を対象としたオンライン調査が行われました。その結果、尿マーキングの予測因子として知られる要素が、爪とぎの予測因子としては有意ではなかったことが報告されています。つまり、爪とぎとマーキングは、これまで考えられていたほど強く結びついた行動ではない可能性があるのです。

この知見は、配置の考え方にも大きく影響します。詳しくは次のセクションで触れますが、「縄張りの境界に置けば正解」という通説は、少し慎重に見る必要がありそうです。

感情表現 ― 安心・興奮・ルーティンとしての爪とぎ

爪とぎについて調べると、「ストレスサイン」として説明されることがあります。不適切な場所で爪とぎが増えたら、ストレスの兆候かもしれない――そういった情報です。

これは一面では正しいのですが、全てではありません。先ほど触れたBraggsとMillsの研究では、爪とぎがポジティブな感情状態、つまり安心感やルーティン、飼い主への愛着と関連しているケースが多いことも示されています。

飼い主が帰宅したときに嬉しそうに爪を研ぐ猫、食後に満足げにガリガリとやる猫。こうした行動は、ストレスではなく、むしろ「満足しているからこその行動」かもしれません。

爪とぎは単一の動機で説明できるものではなく、ストレッチ・爪のケア・コミュニケーション・感情表現が複合的に絡み合った行動なのです。

「玄関に置くのが正解」は本当か?最新研究が示す意外な事実

「猫の爪とぎは玄関や部屋の入口に置きましょう」。このアドバイスは、多くの猫メディアやペットショップで見聞きするものです。

その根拠は、先ほど触れたマーキング理論にあります。爪とぎ=縄張りの主張であるならば、テリトリーの「境界」、つまり玄関や部屋の出入口に置くのが理にかなっている――という論理です。

しかし、実際のデータを見ると、少し違った景色が見えてきます。

BraggsとMillsの1,797名の飼い主を対象とした調査では、猫が最も頻繁に爪とぎをしていた場所は、テリトリーの境界ではありませんでした。休息場所、リビング、寝室、そして飼い主との社会的接触が多い場所――つまり猫が「安心して過ごしている場所」で、爪とぎが多く見られたのです。

爪とぎ配置の通説と研究データの比較図。通説では玄関や入口を推奨するが、研究データでは猫がよく過ごす場所の近くで爪とぎが多いことを示す

この結果は、「境界マーキング」モデルとは明らかに矛盾しています。

もちろん、玄関やドアの横で爪をとぐ猫もいます。通説が完全に間違っているとは言い切れません。ただ、「玄関に置けば正解」という単純な図式は、最新の研究データとは整合しない可能性があります。

大切なのは、一つの理論にとらわれるのではなく、もう少し広い視野で配置を考えることではないでしょうか。

行動学から考える、爪とぎ配置の5つのヒント

では、行動学の知見をもとに、配置のヒントを整理してみます。ただし、あくまで「ヒント」です。万猫に当てはまる正解ではなく、あなたの猫にとっての最適解を見つけるための手がかりとして、参考にしていただければと思います。

爪とぎ配置の5つのヒント。寝床のそば、猫がよくいる場所、すでに研がれている場所のそば、部屋の出入口、窓際を間取り図上に示したインフォグラフィック

1. 寝床のすぐそば ― 寝起きストレッチの動線を押さえる

猫は起床直後にストレッチとして爪を研ぐことが多い動物です。寝床から起き上がり、最初に体を伸ばす場所。その動線上に爪とぎがあれば、自然と使ってもらえる可能性が高まります。

レオの場合、寝場所はリビングのカウチの上でした。起きると、カウチを降りてまっすぐソファの角に向かう。その動線が見えてから、私はソファの角ではなくカウチの降り口のすぐ横に爪とぎを置いてみました。

2. 猫がよくいる場所の近く ― 最も再現性の高い知見

Moestaらが2018年に発表した研究では、様々な爪とぎ対策の中で、唯一統計的に有意な効果が確認されたのが「猫が頻繁にいる場所の近くに爪とぎを設置すること」でした。

この知見はとてもシンプルですが、最も信頼できる手がかりの一つです。猫がよく過ごすリビングの一角、お気に入りの窓辺の近く、いつも昼寝をする場所のそば。猫の生活の中心に爪とぎを置くという発想です。

3. すでに爪とぎされている場所のそば ― 代替スポットを用意する

ソファの角、壁紙、カーペットの端。猫がすでに爪とぎをしてしまっている場所があるなら、そのすぐ横に代替となる爪とぎを設置するのは有効な方法です。

猫がその場所を選んでいるのには理由があります。高さ、角度、素材の感触、あるいはその場所で爪を研ぐ「習慣」。代替スポットを用意することで、場所の好みはそのままに、研ぐ対象だけを切り替えてもらう作戦です。

なお、Moestaらの研究では、水スプレーや叱責などの罰は爪とぎ行動の抑制に有意な効果がなかったことも報告されています。罰ではなく、「より魅力的な選択肢を用意する」というアプローチの方が理にかなっています。

4. 部屋の出入口やドア横 ― マーキング機能を活かす場合

先ほど、マーキング理論の過大評価について触れました。とはいえ、マーキングとしての側面が全くないわけではありません。部屋の出入口やドアの横で爪を研ぐ猫も実際にいます。

お家の猫が、部屋に入ってくるときや出ていくときに、決まってドア横の壁を引っかくようなら、その場所にマーキング的な意味づけをしている可能性があります。そうした猫には、ドアの横に爪とぎを設置することが効果的です。

5. 窓際や玄関 ― 外の刺激に反応する猫に

窓際で外を眺めるラグドールのレオ。外の刺激に反応して爪を研ぐシーン

窓の外を通る鳥や他の猫を見て、興奮して爪をとぐ猫もいます。外の刺激にテンションが上がったときの発散として、窓際で爪を研ぐのです。そうした行動パターンが見られるなら、窓際に爪とぎを置いてあげるとよいでしょう。

重要なのは、これらのヒントはすべて「猫の行動を観察した上で」選ぶものだということです。5つすべてを試す必要はありません。あなたの猫がどんなタイミングで、どんな場所で爪を研ぎたがるのか。その観察が出発点になります。

場所だけでは解決しない?猫が爪とぎを使わない5つの原因

配置を工夫しても、猫が爪とぎを使ってくれないことはあります。2024年にDemirbasらが発表した1,211匹を対象とした大規模調査では、爪とぎ行動に影響する要因として、設置場所だけでなく、猫の性格特性、活動レベル、家庭環境など、複数の要因が複合的に作用していることが示されています。

つまり、場所は多くの要因の「一つに過ぎない」のです。配置以外の原因にも目を向けてみましょう。

原因1: 素材の好みが合っていない

Wilsonらが2016年に行った4,331人の飼い主調査では、興味深い事実が明らかになりました。飼い主が最も多く提供している素材のポストが、不適切な爪とぎを減らすのに最も効果的なポストとは一致していなかったのです。

つまり、多くの飼い主が、自分の猫に合っていない素材の爪とぎを与えている可能性があります。

さらに年齢による嗜好の変化もあります。同じ調査では、9歳以下の猫は麻縄(サイザル)を最も好む傾向がある一方、10歳以上になるとカーペット素材への好みが増す傾向が報告されています。猫の年齢や個体の好みに合わせた素材選びが大切です。

原因2: 縦型・横型が猫の研ぎ姿勢に合っていない

壁に向かって立ち上がるようにして爪を研ぐ猫には、縦型の爪とぎが適しています。床に寝そべってカーペットを引っかくように研ぐ猫には、横型や薄型のものがフィットします。両方の姿勢をとる猫もいますし、斜めの角度を好む猫もいます。

猫がどんな姿勢で爪を研いでいるかを観察すれば、適切な型が見えてきます。

原因3: サイズが小さすぎて体を伸ばせない

爪とぎにはストレッチの機能もあるとお伝えしました。体を十分に伸ばせないサイズの爪とぎでは、この機能を果たせません。

レオは7.5キロのラグドールです。最初に買った爪とぎは、レオの体に対して明らかに小さく、前足をかけても体が余ってしまう状態でした。大型の猫には、体を伸ばしきれる十分なサイズが必要です。これは体格の大きな猫の飼い主が見落としがちなポイントです。

原因4: 安定性が足りずぐらつく

猫は爪とぎに体重をかけて、ぐっと引っかきます。その際にぐらついたり、ずれたりすると、猫は不安を感じてそのポストを避けるようになることがあります。

特に縦型のポストは、猫が全体重をかけて引っかくため、台座がしっかりしている必要があります。横型でも、フローリングの上で滑ってしまうようでは、猫は安心して使えません。

原因5: 素材の劣化・匂いの問題

段ボール製の爪とぎは使い込むと表面が崩れ、爪が食い込みにくくなります。また、研ぎカスが溜まることで猫が嫌がるケースもあります。場所が正しくても、素材の状態が悪ければ猫は離れていきます。

逆に、新品の爪とぎの匂いを警戒して近づかない猫もいます。接着剤や塗料、素材そのものの化学的な匂い。猫の嗅覚は人間の数万〜数十万倍と言われており、人間には気にならない程度でも、猫にとっては強い刺激になることがあります。

爪とぎは何個必要?複数配置の戦略

基本の目安「猫の数+1個」

爪とぎの数は、トイレと同様に「猫の数+1個」が一つの目安です。1匹なら2個以上。これにより、猫がいつでも、どの場所にいても、すぐに爪とぎにアクセスできる環境をつくれます。

異なるタイプを配置して好みを把握する

複数の爪とぎを置く際、全て同じタイプにする必要はありません。むしろ、異なるタイプを配置することで、猫の好みを把握するチャンスになります。

寝床の横には横型を、リビングの壁際には縦型を、というように。猫がどちらをより頻繁に使うかを観察すれば、次に爪とぎを追加・交換する際の判断材料になります。

多頭飼いの場合:独占を防ぐ分散配置

多頭飼いの場合は、配置の考え方が少し複雑になります。猫同士の関係性によっては、一方の猫が特定の爪とぎを独占し、もう一方がソファや壁に向かってしまうことがあります。

それぞれの猫の行動圏に分散して配置することで、こうした問題を緩和できます。

ライフステージに合わせた見直し

Wilsonらの調査が示したように、猫の素材嗜好は年齢とともに変化する可能性があります。若い頃は縦型の麻縄ポストに勢いよく飛びついていた猫も、シニア期に入ると関節の負担から横型や低い位置のものを好むようになるかもしれません。

爪とぎの配置は一度決めたら終わりではなく、猫のライフステージに合わせて定期的に見直すことが大切です。

正解は猫が教えてくれる ― 観察・仮設置・調整の実践ガイド

ここまで、行動学の知見をもとに配置のヒントと、場所以外の原因をお伝えしてきました。最後にお伝えしたいのは、「完璧な正解を最初から見つけようとしなくていい」ということです。

爪とぎ配置の実践3ステップ。1週間の観察、仮設置、微調整を繰り返すフロー図

ステップ1: 猫の行動パターンを1週間観察する

まず、1週間ほど猫の行動を観察してみてください。

  • どこで爪を研いでいますか?(ソファ?壁?カーペット?)
  • いつ爪を研いでいますか?(寝起き?帰宅時?食後?遊んだ後?)
  • どんな姿勢で研いでいますか?(立ち上がって?寝そべって?)
  • どの場所で一番長く過ごしていますか?

この観察が、全ての出発点になります。

ステップ2: 観察結果に基づいて仮設置する

観察から得た情報をもとに、爪とぎを仮設置してみましょう。

寝起きにストレッチとして研いでいるなら、寝床のすぐ横に。ソファの角を引っかいているなら、ソファの横に代替として。壁に立ち上がって研いでいるなら縦型を、床で研いでいるなら横型や薄型を。

このとき、猫の研ぎ姿勢や体格に合ったタイプを選ぶことも重要です。

配置場所に合わせた爪とぎの選び方として、いくつかの例を挙げておきます。

寝床のそばに置くなら
寝起きのストレッチに使うので、体を伸ばしやすい横型やベッド兼用型が向いています。nyansの「リラックス」(Mサイズ ¥6,980〜)はベッド兼用の設計で、くつろぎながら爪を研げます。薄型でシニア猫にも上り下りしやすい「スタンダード」(Mサイズ ¥3,880〜)も、寝床横の一台目として手軽です。

ソファや壁を保護したいなら
すでに爪とぎされている場所のそばに、縦型を設置します。猫が立ち上がって研ぐ姿勢を再現できるため、代替スポットとして機能しやすくなります。nyansの「縦型」(Mサイズ ¥6,980〜)は壁際に設置でき、家具や壁紙の保護と両立します。

リビングに複数配置するなら
研ぎカスの飛び散りが気になる場所には、ケース型が便利です。nyansの「ケース入り」(¥2,980)は最も手頃な価格帯で、2台目・3台目としてリビングの動線上に気軽に追加できます。

爪のケアも兼ねたいなら
爪のメンテナンス機能をさらに一歩進めた選択肢もあります。nyansの「つめまる」(¥6,980)は内蔵のやすりで爪先が自然に丸くなる設計で、爪切りの頻度を減らす効果が期待できます。

nyansの爪とぎはすべて、バージンパルプを使用した強化ダンボールで作られています。先ほど触れた「素材の劣化」や「匂いの問題」に配慮し、研ぎカスが出ない設計で、猫の嗅覚に配慮した無臭素材を採用しています。

ステップ3: 使用状況を見て微調整する

仮設置したら、2〜3日間、猫の反応を観察します。すぐに使い始める猫もいれば、しばらく警戒する猫もいます。焦らず見守ってください。

使ってもらえない場合は、位置を少しずらしてみる、角度を変えてみる、別のタイプに交換してみる――そうした微調整を繰り返します。

私がレオと試行錯誤して行き着いたのは、「寝床横の横型+リビング入口の縦型」という組み合わせでした。寝起きにはカウチ横の横型でストレッチをし、リビングに出てくるときにはドア横の縦型で立ち上がって研ぐ。レオの生活動線に合わせた配置が、ようやく機能し始めたのです。

この「観察→仮設置→調整」のプロセスは、一見遠回りに思えるかもしれません。しかし、万猫に通用する「正解」が存在しない以上、目の前の猫を観察して、その猫にとっての最適解を探していくことこそが、最も確実な方法です。

猫の個体差を尊重する。正解を急がず、猫と一緒に「ちょうどいい場所」を見つけていく。そのプロセスそのものが、猫との暮らしを少し豊かにしてくれるのだと、レオと暮らす中で私は感じています。

よくある質問

Q1: 猫の爪とぎはどこに置くのがベストですか?

研究データで最も再現性の高い知見は、「猫がよくいる場所の近くに設置すること」です。寝床のそばやリビングの動線上など、猫の生活の中心に置くことをおすすめします。玄関や部屋の入口も候補になりますが、猫の行動パターンを観察した上で判断するのが確実です。

Q2: 猫が爪とぎを使ってくれないのはなぜですか?

場所だけでなく、素材の好み、縦型・横型の適合、サイズ、安定性、素材の匂いなど、複数の原因が考えられます。場所を変えても改善しない場合は、これらの要素を一つずつ確認してみてください。特に素材の好みには個体差が大きいことが研究でも示されています。

Q3: 爪とぎは何個置けばいいですか?

「猫の数+1個」が一つの目安です。異なるタイプ(縦型と横型など)を組み合わせて配置すると、猫の好みを把握しやすくなります。多頭飼いの場合は、独占を防ぐために分散配置することも大切です。

Q4: 猫が壁やソファで爪とぎするのをやめさせるには?

すでに爪とぎしている場所のすぐ横に、代替となる爪とぎを設置するのが最も効果的です。研究では、水スプレーなどの罰は爪とぎ行動の抑制に有意な効果がないことが報告されています。罰ではなく、より魅力的な選択肢を用意するアプローチをおすすめします。

Q5: 縦置きと横置き、どちらがいいですか?

猫の研ぎ姿勢を観察して判断するのが一番です。壁やソファに向かって立ち上がるようにして研ぐ猫には縦型を、床やカーペットの上で寝そべって研ぐ猫には横型や薄型をおすすめします。両方の姿勢をとる猫には、異なるタイプを複数配置して好みを確認してみてください。

※本記事の情報は2026年5月時点の学術研究・専門家見解に基づいています。猫の健康に関する判断は、かかりつけの獣医師にご相談ください。

参考文献

1. Braggs, J. & Mills, D.S. (2025). "Unwanted feline scratching in the home: A re-examination of its relationship with stress and marking." Applied Animal Behaviour Science, Vol. 287.
2. Demirbas, Y.S., Pereira, J.S., De Jaeger, X., Meppiel, L., Endersby, S. & da Graca Pereira, G. (2024). "Evaluating undesired scratching in domestic cats: a multifactorial approach to understand risk factors." Frontiers in Veterinary Science, Vol. 11, 1403068.
3. Wilson, C., Bain, M., DePorter, T., Beck, A., Grassi, V. & Landsberg, G. (2016). "Owner observations regarding cat scratching behavior: an internet-based survey." Journal of Feline Medicine and Surgery, Vol. 18, No. 10, pp. 791-797.
4. Moesta, A., Keys, D. & Crowell-Davis, S. (2018). "Survey of cat owners on features of, and preventative measures for, feline scratching of inappropriate objects: a pilot study." Journal of Feline Medicine and Surgery, Vol. 20, No. 10, pp. 891-899.
5. DePorter, T.L. & Elzerman, A.L. (2019). "Common feline problem behaviors: Destructive scratching." Journal of Feline Medicine and Surgery, Vol. 21, No. 3, pp. 235-243.
6. Zhang, L. & McGlone, J.J. (2020). "Scratcher preferences of adult in-home cats and effects of olfactory supplements on cat scratching." Applied Animal Behaviour Science, Vol. 227, 104997.

この記事を読んだ方へ

爪とぎや爪のケアについて、もう少し深く知りたい方にご紹介したい記事です。

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