猫同士の相性は?仲良しのサインと、相性が悪いときにできること|nyansネコラム

猫同士の相性は?仲良しのサインと、相性が悪いときにできること|nyansネコラム

アイコン

nyans編集部

うちの2匹は、仲がいいのか悪いのか。くっついて寝ないのは、相性が悪いからなのか。追いかけ回しているけれど、あれは遊びなのか。

この記事は、その3つの問いに答えるために書きました。

結論だけ先に書くと、猫同士の「仲良し」は、人が思い浮かべる形とはずいぶん違います。 くっついて寝る猫たちだけが合格なのではありません。同じ部屋に居ながら距離を取っている2匹も、猫にとってはひとつの落ち着いた関係です。

ただし、どこからが「相性が悪い」で、どこからが専門家に相談すべきかには、文献で線が引けます。この記事では、観察できる行動だけを物差しにして、その線を引いていきます。

なお、nyansの製品購入者アンケート(2026年6月〜9月・回答者n=111)では、回答された方の61.3%が2匹以上と暮らしていました。多頭で暮らす方が多いからこそ、この問いは編集部にとっても他人事ではありません。

まず結論:猫の「仲良し」は、くっついて寝ることだけではありません

猫同士の関係は、仲がいいか悪いかの2択ではなく、段階で見ます。

獣医行動学のレビュー論文(Crowell-Davis et al., 2004)は、猫が「好みの相手(preferred associates)」を持つことを、1メートル以内にいる頻度が他の猫より高い相手として定義しています。ごはんの時間に同じ場所へ来るからではなく、相手がいるから近くにいる。その違いが「絆」の有無です。

そして、関係が近い相手にだけ出る行動が、いくつか特定されています。次の節で、それを物差しにします。

逆に、怖がって隠れ続けている、トイレに行けていない、食べる量が減った。この3つが出ているなら、仲良しかどうかより先に、体の問題を除外する段階です。後半で詳しく書きます。

仲良しのサインは、この順に読みます

相互毛づくろい・こすりつけ合い・鼻合わせ・触れて寝る・しっぽを立てた接近・距離を取った共存の順に、猫同士の関係の近さを並べた物差しの図
関係が近いほど出やすい順です。下の2つは「仲良し」の指標ではありませんが、悪い関係でもありません。

米国猫医療従事者協会と国際猫医学会のガイドライン(AAFP/ISFM, 2013)は、「同じ社会グループにいる猫の指標」として5つを挙げています。顔や体をこすりつけ合う、しっぽを絡める、触れて(または近くで)休む、一緒に遊ぶ、お互いを毛づくろいする。これに、レビュー論文が挙げる鼻合わせとしっぽを立てた接近を足すと、物差しができます。

関係が近いほど出やすい順に並べます。

相互毛づくろい(アログルーミング)

相手の頭や首を舐める行動です。「好みの相手」との間で有意に多いことが報告されています(Crowell-Davis et al., 2004)。被毛を整えるためというより、関係を確かめる行動と考えられています。2匹の間でこれが出ていれば、いちばん強いサインです。

こすりつけ合い(アロラビング)

体の側面や頭、しっぽをこすり合わせます。ほぼ必ず、しっぽを立てた接近が先に起きます。 数分続くこともあり、匂いを交換して「グループの匂い」を作る行動と考えられています(Crowell-Davis et al., 2004)。

鼻を合わせる

「好みの相手」との間でもっともよく見られる挨拶です(Crowell-Davis et al., 2004)。一瞬で終わるので見逃しやすいのですが、すれ違いざまにこれがあるなら、距離は近いほうです。

触れて寝る

体のどこかが触れた状態で寝ることです。レビュー論文は、これが猛暑のときでも起こることを根拠に、暖を取るためではなく社会的な絆の結果だとしています(Crowell-Davis et al., 2004)。

ここで、ひとつ区別しておきたいことがあります。「同じ部屋で寝る」と「触れて寝る」は別のものです。 2,492世帯を調べた研究(Elzerman et al., 2020)は、この2つを別の項目として集計しています。間に隙間があるなら、その場所が気に入っているだけの可能性があります。

しっぽを立てて近づく

接近するときにしっぽを垂直に立てるのは、友好的な意図の合図です(Crowell-Davis et al., 2004)。どちらも立てているときに、こすりつけ合いがもっとも起きやすいとされています。

同じ部屋にいる、距離を取って共存する

ここから下は「仲良し」の指標ではありませんが、悪い関係でもありません。 多頭で暮らす猫の多くは、同じ場所を時間をずらして使うことを学びます(AAFP/ISFM, 2013)。去勢・避妊済みの屋内飼い60組を観察した研究では、2匹は時間の48〜50%を互いの視界の外で過ごしていました(Barry & Crowell-Davis, 1999。AAFP, 2024が引用)。同じ家にいて、半分の時間は相手が見えない。それが猫同士の、ごく普通の距離です。お互いを避けながら、攻撃はしない。この距離の取り方については、編集部の猫社員チェルシーとミルキーの話を猫同士の相性を、私はずっと誤解していたで書いています。ここでは繰り返しません。

一緒にごはんを食べるのは、指標ではありません

よく「同じ皿で食べるから仲良し」と言われますが、ガイドラインはむしろ各猫に個別の給餌場所をと勧めています(AAFP/ISFM, 2013)。一緒に食べていても、がっついて早食いしてすぐ離れるなら、緊張を避けている可能性がある、とも書かれています(AAFP, 2024)。食事の場面で仲良しを測るのは、やめたほうが安全です。

どこからが「相性が悪い」のか

棚の上段と下段にそれぞれ座り、少し離れて同じ空間にいる2匹の猫

ここが、この記事でいちばんお伝えしたいところです。

まず、数字を見てください

米国の2,492世帯・6,431頭を対象にしたアンケート研究(Elzerman et al., 2020)では、猫同士の対立の徴候を一度も見たことがない世帯は12.3%でした。残りの87.7%の世帯では、何かしらの対立の徴候が見られています。しかも、そのうち73.3%は「迎えた最初から」です。

対立の徴候でいちばん多かったのは、じっと見つめる(凝視)で、44.9%の世帯で毎日以上。シャーと威嚇するのは18%の世帯で毎日以上でした。

ところが同じ研究で、親和的な行動は対立行動より頻繁に観察されていました。触れ合いは約半数の世帯で毎日以上です。つまり、ほとんどの多頭世帯では、対立と親和が同時に起きています。

2024年に出た猫同士の緊張に関するガイドライン(AAFP, 2024)は、この研究と英国の調査をあわせて多頭世帯の62.2〜87.7%に猫同士の緊張があるとまとめています。

凝視やシャーがある=相性が悪い、ではありません。 それは多数派の日常です。

見てほしいのは「はっきりした徴候」より「静かな徴候」です

ガイドライン(AAFP, 2024)は、猫同士の緊張の徴候を2つに分けています。

はっきりした徴候は、唸る、叩く、追う、直接の争い。

静かな徴候は、じっと見つめる、その場を立ち去る、隠れる、通路やトイレの前をふさぐ(ブロック)。

そして、こう書かれています。猫がストレス下で見せるのは、派手な行動より普通の行動の抑制であることが多い、と。食欲が落ちる、動かなくなる、眠りが乱れる、排泄をしなくなる。

喧嘩をしていないことは、安心の根拠になりません。 一方の猫が片隅から動かない、トイレの前で別の猫が座っている、ごはんの時間に来なくなった。こうした変化のほうが、見るべきサインです。

線を引くなら、ここです

ガイドラインは「短い仲違いは普通で、関係が壊れた証拠ではない」としたうえで、頻繁で、激しく、長引く身体的な衝突がある。または1匹以上が隠れ続けている場合は、まず病気を除外し、行動の支援を受けるように、と書いています(AAFP, 2024)。

この記事では、その線をそのまま使います。

それは遊びですか、喧嘩ですか

声を出さずに取っ組み合い役割が入れ替わる遊びと、一方的に追いかけて声が出る敵対のやりとりを左右に並べた比較図
決め手は、双方向かどうかと、声です(Gajdoš-Kmecová et al., 2023/AAFP, 2024)。

追いかけ回す、取っ組み合う。これが遊びか喧嘩かは、多頭で暮らす方のいちばんの悩みだと思います。

2023年に、この問いに正面から取り組んだ研究が出ました。飼い主が提供した動画とYouTubeの動画から105組210頭の猫同士のやりとりを記録し、行動の組み合わせで分類したものです(Gajdoš-Kmecová et al., 2023)。

結果は3つの群に分かれました。

  • 遊びの群(39.5%):取っ組み合い(レスリング)をするが、声を出さない。
  • 敵対の群(32.4%):声を出し、追いかけ、動かない時間が長い。
  • 中間の群(28.1%):長いやりとりが繰り返される。遊びの群に近い。

決め手は「取っ組み合いの有無」ではなく、「双方向か」と「声」でした。 論文は、取っ組み合いだけでは遊びの指標にならない、と明記しています。上下が入れ替わる、追う側と追われる側が入れ替わる。この双方向性が遊びの特徴で、一方的な追いかけと発声が敵対の特徴です。

中間の群について、論文はこう書いています。関係が壊れたのではなく、「今やりたいことが食い違った」短期的な不一致だと。片方は遊びたいのに、もう片方はもう終わりたい。そういう場面です。

これを臨床向けに翻訳したのが、2024年のガイドラインです(AAFP, 2024)。

  • 声を出さずに取っ組み合っているなら、ほぼ遊び。
  • 一方的に追いかけ、声を出し、止まる時間が繰り返されるなら、遊びではない可能性が高い。
  • 本当に喧嘩をしている猫同士は、別の場面で親和行動を見せない。

3つ目が、見分けに迷ったときの補助線です。激しい取っ組み合いのあとで、同じ部屋で寝ているか。別の時間に鼻を合わせているか。それがあるなら、関係は続いています。

なお、「爪が出ているか」「毛が逆立っているか」は、この研究では本気の喧嘩を選ぶ基準として使われましたが、単独の判別指標として検証はされていません。見てよい手がかりですが、決め手ではありません。

相性を左右するものは何か

よく聞く「オス同士は仲良くなりやすい」「子猫なら大丈夫」は、どこまで本当なのでしょうか。文献で言えることだけを書きます。

最初の出会い方は、はっきり効きます

保護施設から猫を迎えた252世帯を追った研究(Levine et al., 2005)では、多頭になった世帯の約半数が、新しい猫を迎えたときに喧嘩を報告しました。そして約半数の飼い主は、何の準備もせずにいきなり同じ空間へ入れていました。 最初の出会いで引っかく・噛むといった攻撃的な行動があった世帯は、その後12か月の喧嘩も多かったと報告されています。調査時点で、35%の世帯では対立が解消していませんでした。

先ほどの2,492世帯の研究でも、「迎え入れがうまくいった」と答えた世帯ほど、いまの親和行動が多く、対立が少ないという相関が出ています(Elzerman et al., 2020)。

迎えてしまってからでは変えられない唯一の要因が、これです。 これから2匹目を迎える方は、後半の「段階的に慣らす」を先に読んでください。

血縁・子猫のころからの同居は、根拠がいちばん厚いです

同じ程度に慣れている相手同士で比べても、血縁のある相手のほうが近くにいる回数も毛づくろいされる回数も有意に多いことが、28頭のコロニーの観察で示されています(Curtis et al., 2003)。レビュー論文も、血縁と非血縁が同居しているとき、猫は血縁のほうに近づき毛づくろいすると述べ、母猫と子猫など血縁のある2〜3頭をまとめて迎えることを勧めています(Crowell-Davis et al., 2004)。ガイドラインも、同腹など絆のあるペアでの迎え入れを望ましいとしています(AAFP/ISFM, 2013)。

ただし、これが「遺伝」の効果なのか、「子猫のころに一緒に育った」効果なのかは、研究上まだ分けきれていません。この記事では「同腹で、子猫のころから一緒に育った猫同士」と書くにとどめます。

社会化期:生後2〜9週

猫が他の猫との付き合い方を学ぶ時期は、生後2〜9週とされています(AAFP, 2024)。レビュー論文は、この時期に母猫や同腹から早く離されて単頭で育った猫は、あとから猫を迎えたときに抑制のない攻撃か、過剰な恐怖を示しやすいと述べています(Crowell-Davis et al., 2004)。

迎える前に分かることは少ないですが、保護団体などで「兄弟と一緒に育った」「他の猫と接していた」が分かるなら、ひとつの手がかりです。

性別の組み合わせ:去勢・避妊済みなら、決め手になりません

レビュー論文(Crowell-Davis et al., 2004)は、去勢・避妊をしていないコロニーではオス同士が距離を取りがちだが、去勢済みのコロニーでは性別の影響が見られなかったとしています。「オス同士は仲良し」「メス同士は難しい」という説は、一次資料では裏づけられませんでした。

年齢:子猫は「受け入れやすい傾向」、ただし決め手ではありません

ガイドラインは、成猫は他の成猫より子猫を受け入れやすい、と書いています(AAFP/ISFM, 2013)。一方で、先ほどの保護猫の研究(Levine et al., 2005)では、頭数・年齢・性別は喧嘩と関連していませんでした。「子猫を迎えれば大丈夫」とまでは言えません。

品種

品種で相性を予測するのは粗すぎる、という話は猫同士の相性を、私はずっと誤解していたに書いてあります。

相性が悪いとき、できること

トイレ・食事・水・爪とぎ・休息場所を、互いに見えない別々の場所に分けて置いた部屋の見取り図
数より「視覚的に分かれているか」です。隣り合った2つは、1つ分の意味しかありません(AAFP/ISFM, 2013)。

先に、やらないことを3つ

ガイドライン(AAFP, 2024)が明確に否定している対処があります。

  • 猫同士で解決させようと放っておく。 喧嘩は、逃げ場がないときの最後の手段です(AAFP/ISFM, 2013)。放置して収まるのは、解決ではなく片方が諦めただけのことがあります。
  • 無理に仲良くさせようとする。 同じ部屋に閉じ込める、同じベッドで寝かせる。猫が自分で作った距離を壊すことになります。
  • 「寂しそうだから」と2匹目を迎える。 猫は必ずしも仲間を必要としない、とガイドラインは書いています。亡くした猫の「代わり」を急いで迎えることも、残された猫にとっては環境の変化が重なるだけになりえます。

資源を分けます

2013年のガイドライン(AAFP/ISFM, 2013)の第2の柱が、これです。原文の表現を、そのまま訳します。

  • 食事、水、トイレ、爪とぎ、遊び場、休息場所は、複数の場所に用意する。
  • それぞれの資源は、他の資源から離れた、それ自体の場所に置く。
  • 猫が各資源について選べる状態にする。最低でも、休息場所2、給餌場所2、トイレ2。
  • 同じ家に複数の社会グループがいてよい。グループごとに、物理的に分けた資源を。
  • 水と食事は離す。トイレは他の資源から十分に離す。

理由も書かれています。資源が分かれていれば、猫は他の猫を見ずに済む。それが資源の取り合い、いじめ、ストレスを最小にする、と。

よく言われる「頭数プラス1」は、2024年のガイドライン(AAFP, 2024)に「安全な場所は1匹に1つ、プラス1」として出てきます。付属の飼い主向け手順書では、トイレ・水・食器・ベッド・爪とぎについても同じ数が勧められています。

ただ、正直に書いておきます。2,492世帯の研究では、資源の数が十分かどうかは、対立の頻度を強く予測しませんでした(Elzerman et al., 2020)。数を増やせば喧嘩が減る、とは言えません。ガイドラインが強調しているのは数より「視覚的に分かれているか」です。トイレが2つあっても隣り合っていれば、1つ分の意味しかありません。

爪とぎもこの資源のひとつに数えられています。多頭で暮らしているなら、1つを共有させるより、それぞれの猫がよくいる場所に分けて置くほうが、ガイドラインの考え方に沿います。

段階的に慣らします

これから迎える場合も、一度こじれてやり直す場合も、獣医行動学で勧められている手順は同じ型です(AAFP, 2024)。

  1. 別室から始める。新しい猫には、扉の閉まる部屋に食事・水・トイレ・隠れ場所・爪とぎを用意し、自分でキャリーから出てくるのを待つ。
  2. 匂いを交換する。どちらも落ち着いてから(通常は数日後)、寝具などを入れ替える。嫌がる反応が出なくなるまで毎日くり返す。
  3. 扉越しに遊ぶ。閉じた扉の両側でおもちゃを使い、5〜20分で、飽きる前に終える。
  4. 場所を交換する。先住猫を別室に入れ、新しい猫に共用スペースを短時間だけ探索させる。
  5. 姿を見せる。網戸やゲート越しに、視覚的な接触を始める。不快な反応が出たら、前の段階に戻る。
  6. 監督下で近づける。

鉄則はひとつです。それぞれの猫が今の段階に慣れるまで、次の段階へ進まない。 戻す目安は、シャー、唸り、耳を後ろに回して体をこわばらせる(International Cat Care)。所要期間は数日から数か月、ときにそれ以上とされています。

いつまで待つか

「そのうち慣れる」と「もう動くべき」の境目は、時間では引けません。ガイドラインが載せている再導入の症例では、中等度の緊張で数か月、重度で1年を超えていました(AAFP, 2024)。そして、どちらの症例も結末は「仲良し」ではなく、緊張のない許容でした。

待ってよいのは、どちらの猫も食べていて、隠れておらず、トイレを使えているあいだです。前の節の線(頻繁で激しく長引く衝突、または隠れ続けている)を越えたら、待つ段階ではありません。

ここも正直に書いておきます。この手順は、獣医行動学の専門家の合意として推奨されているもので、効果を比較試験で確かめた研究は見つけられませんでした。ただ、「最初の出会いの悪さが長期の喧嘩と関連する」こと自体は、前の節で書いたとおり調査で示されています。段階的に慣らす理由は、そこにあります。

専門家に相談する目安

ここは慎重に書きます。

猫同士の緊張は、体の不調と見分けがつかないことがあります。ガイドラインは、社交性の低下が重大な病気の最初の徴候でもありうると書いています(AAFP, 2024)。

次のような様子があれば、「相性の問題」と決める前に、動物病院に相談してください。

  • 食べる量が減った、ごはんの時間に来なくなった。
  • 動かなくなった、隠れている時間が増えた。
  • トイレの外で排泄した。
  • 同じところを舐め続けて毛が薄くなった(過剰グルーミング)。
  • 頻繁で、激しく、長引く身体的な衝突がある。
  • 怪我をした。

とくにトイレの外での排泄は、「当てつけ」や「わざと」ではありません(AAFP, 2024)。体の病気、他の猫にトイレへの通路をふさがれている、トイレそのものが気に入らない。先に疑うべき説明は、この3つです。猫同士の対立と、膀胱の病気や不適切な排泄との関連を報告した研究は複数あります(Elzerman et al., 2020の序論で整理されています)。

病気が除外されて、環境を整えても改善が見られない場合は、行動診療を行っている獣医師に相談する段階です。ガイドラインも、環境改善の助言のあとに改善が乏しければ行動の専門家へ、としています(AAFP/ISFM, 2013)。

ここに書いたのは観察できる目安であって、診断ではありません。病気の特定や治療の判断は、必ず動物病院で行ってください。

よくある質問

猫同士の相性が悪いサインは何ですか。

A. 喧嘩や威嚇よりも、静かな変化を見てください。一方が隠れている時間が増えた、トイレや通路の前をもう一方がふさいでいる、ごはんの時間に来なくなった、動かなくなった。こうした「普通の行動がなくなる」変化のほうが、緊張のサインとして多いとガイドラインは書いています(AAFP, 2024)。頻繁で激しく長引く衝突があるか、1匹以上が隠れ続けているなら、まず動物病院へ。

一緒に寝ないのですが、仲が悪いのでしょうか。

A. いいえ。触れて寝るのは関係が近いサインですが、しないから悪いわけではありません。多頭世帯の62〜88%に何らかの緊張があるとされていて(AAFP, 2024)、距離を取って共存している2匹はごく普通です。食欲があり、隠れておらず、トイレも使えているなら、その距離はその子たちが選んだものです。

追いかけ回しています。遊びですか、喧嘩ですか。

A. 声を出さずに取っ組み合い、追う側と追われる側が入れ替わるなら、ほぼ遊びです。一方的に追いかけ、声が出て、止まる時間が繰り返されるなら、遊びではない可能性が高いです(Gajdoš-Kmecová et al., 2023/AAFP, 2024)。迷ったら、別の場面で鼻を合わせたり近くで寝たりしているかを見てください。本当に喧嘩している猫同士は、それをしません。

仲良くなるまで、どのくらいかかりますか。

A. 段階的に慣らす手順の所要期間は、数日から数か月、ときにそれ以上とされています(AAFP, 2024)。保護猫を迎えた世帯の調査では、35%で対立が解消していませんでした(Levine et al., 2005)。「仲良くなる」をゴールにせず、「お互いが怖がらずに同じ家で暮らせる」をゴールにしたほうが、現実に合います。

2匹目を迎えるなら、子猫がいいですか。オスとメスどちらがいいですか。

A. 去勢・避妊済みなら、性別の組み合わせは決め手になりません(Crowell-Davis et al., 2004)。子猫は成猫より受け入れられやすい傾向があるとガイドラインは書いていますが(AAFP/ISFM, 2013)、年齢は喧嘩と関連しなかったという調査もあります(Levine et al., 2005)。根拠がいちばん厚いのは、同腹の兄弟など、子猫のころから一緒に育った2匹をまとめて迎えることです(Curtis et al., 2003/Crowell-Davis et al., 2004)。

先住猫がごはんを食べなくなりました。

A. 猫同士の緊張で最初に出やすいのが、食欲の低下です(AAFP, 2024)。ただし、それだけで相性の問題とは決められません。食欲の低下は体の病気でも起きますし、ストレス性の食欲不振は深刻な状態につながりうると報告されています(Amat et al., 2016)。まず動物病院で体を診てもらい、そのうえで、給餌場所を分けて、他の猫から見えない位置に置いてみてください。

相性が悪いまま、一生このままですか。

A. 「仲良し」にはならなくても、緊張のない共存には近づけます。やることは、資源を視覚的に分ける、段階的に慣らし直す、無理に近づけない、の3つです(AAFP, 2024)。ガイドラインが載せている再導入の症例でも、結末は「仲良し」ではなく緊張のない許容でした(AAFP, 2024)。距離を取った共存を目標にして構いません。それも、猫にとっては落ち着いた関係のひとつです。

まとめ

  • 猫同士の関係は、仲がいいか悪いかの2択ではなく、段階で見ます。相互毛づくろい、こすりつけ合い、鼻合わせ、触れて寝る、しっぽを立てた接近が、近い順のサインです。
  • 多頭世帯の62〜88%に何らかの緊張があります。 凝視やシャーは多数派の日常で、それだけで相性が悪いとは言えません。
  • 見るべきは、隠れる、動かない、食べない、トイレに行けない、といった静かな徴候です。
  • 遊びと喧嘩の決め手は、双方向かどうかと、声。一方的な追いかけと発声は、遊びではない可能性が高いです。
  • 相性を左右するのは、最初の出会い方、同腹・子猫のころからの同居、社会化期の経験。去勢済みなら性別は決め手になりません。
  • できることは、資源を視覚的に分ける、段階的に慣らす、無理に近づけない。
  • 頻繁で激しく長引く衝突、または隠れ続けている猫がいるなら、まず動物病院へ。

編集部にも、同じ家で距離を取って暮らしている2匹がいます。くっついて寝る日は、たぶん来ません。それでも、どちらも自分の場所で目を閉じていられるなら、それがこの家の落ち着いた形なのだと思っています。

この記事を書いた人

nyans編集部

nyans編集部

研ぎカスが出ないnyansの爪とぎを作っている、株式会社nyansの編集チーム。猫の行動や暮らしの疑問を、学術文献と自社アンケートをもとに調べて記事にしています。

出典・参考文献

・Elzerman, A. L., DePorter, T. L., Beck, A., Collin, J.-F. (2020)「Conflict and affiliative behavior frequency between cats in multiple-cat households: a survey-based study」Journal of Feline Medicine and Surgery 22(8):705–717。
・Gajdoš-Kmecová, N., Peťková, B., Kottferová, J., Halls, V., Haddon, C., de Assis, L. S., Mills, D. S. (2023)「An ethological analysis of close-contact inter-cat interactions determining if cats are playing, fighting, or something in between」Scientific Reports 13:92。
・Crowell-Davis, S. L., Curtis, T. M., Knowles, R. J. (2004)「Social organization in the cat: a modern understanding」Journal of Feline Medicine and Surgery 6(1):19–28。
・Curtis, T. M., Knowles, R. J., Crowell-Davis, S. L. (2003)「Influence of familiarity and relatedness on proximity and allogrooming in domestic cats (Felis catus)」American Journal of Veterinary Research 64(9):1151–1154。
・Barry, K. J., Crowell-Davis, S. L. (1999)「Gender differences in the social behavior of the neutered indoor-only domestic cat」Applied Animal Behaviour Science 64(3):193–211。
・Levine, E., Perry, P., Scarlett, J., Houpt, K. A. (2005)「Intercat aggression in households following the introduction of a new cat」Applied Animal Behaviour Science 90(3–4):325–336。
・Rodan, I., Ramos, D., Carney, H., DePorter, T., Horwitz, D. F., Mills, D., Vitale, K. (2024)「2024 AAFP intercat tension guidelines: recognition, prevention and management」Journal of Feline Medicine and Surgery 26(7)。
・Ellis, S. L. H., Rodan, I., Carney, H. C., Heath, S., Rochlitz, I., Shearburn, L. D., Sundahl, E., Westropp, J. L. (2013)「AAFP and ISFM Feline Environmental Needs Guidelines」Journal of Feline Medicine and Surgery 15(3):219–230。
・Amat, M., Camps, T., Manteca, X. (2016)「Stress in owned cats: behavioural changes and welfare implications」Journal of Feline Medicine and Surgery 18(8):577–586。
・International Cat Care「Introducing cats」(団体の飼い主向け記事)。

※Levine et al.(2005)、Curtis et al.(2003)、Barry & Crowell-Davis(1999)は、抄録および査読済みレビュー(Crowell-Davis et al., 2004/Vitale et al., 2024)の引用を通じて確認しました。

※この記事は一般的な情報であり、診断ではありません。病気の特定や治療の判断は、動物病院で行ってください。